ABSTRACT 282(5-8)
Nexilin:接着斑に局在する新規F-アクチン結合蛋白質:池田わたる1,中西宏之2,大塚稔久1,佐藤綾子2,百瀬由実子1,西岡秀夫2,高井義美1,2(1阪大・医・分子生理化学,2科学技術振興事業団・ERATO・高井生体時系プロジェクト)
Nexilin: A novel F-actin-binding protein localized at cell-matrix adherens junction :Wataru IKEDA1,Hiroyuki NAKANISHI2,Toshihisa OHTSUKA1,Ayako SATOH2,Yumiko MOMOSE1,Hideo NISHIOKA2,Yoshimi TAKAI1,2 (1Dept. Mol. Biol. & Biochem., Osaka Univ. Med. Sch.,2Takai Biotimer Project, ERATO, JST)
細胞接着の分子機構を明らかにすることは、がんの浸潤、転移を理解する上で重要である。細胞接着装置の密着帯、接着帯および接着斑はアクチン束によって裏打ちされているが、その分子機構は充分に理解されていない。そこで、ラット脳およびラット線維芽細胞より2つのスプライシングバリアントからなる新規F-アクチン結合蛋白質を単離、同定し、脳から得た97kDaの蛋白質をb-Nexilin (b-Nex)、線維芽細胞から得た95kDaの蛋白質をs-Nexilin (s-Nex) と名付けた。F-アクチン結合ドメインは、b-NexではN末端部と中央部の2カ所に位置し、s-NexではそのN末端部がスプライシングされているため、中央部のみに位置していることが明らかとなった。b-Nex、s-Nexは共にF-アクチンの側方に結合したが、b-NexのみがF-アクチン架橋作用を示した。b-Nexは脳や精巣に、s-Nexは精巣、脾臓および線維芽細胞に主に発現していた。s-Nexは、線維芽細胞の接着斑に局在しており、遺伝子導入をした場合、b-Nex、s-Nex共に接着斑への局在を示した。さらに、b-Nexはストレスファイバー上に局在し、その形成を増強させた。以上の結果から、Nexilinは接着斑に局在する新規F-アクチン結合蛋白質であることが示された。