ABSTRACT 285(5-8)
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p53誘導アポトーシスの回避遺伝子の同定およびその機能解析:築城裕正1,2, 中村英夫1,2, 山崎基生3, 古谷安希子3, 花井陳雄3, 生塩之敬1, 佐谷秀行21熊本大・医・脳外, 2熊本大・医・腫瘍, 3協和発酵・東京研)

Cloning and characterization of IPIA-α, an inhibitor gene of p53-induced apoptosis: Hiromasa TSUIKI1,2, Hideo NAKAMURA1,2, Motoo YAMASAKI, Akiko HURUYA, Nobuo HANAI, Yukitaka USHIO1, Hideyuki SAYA2(1Dept.Neurosurg., 2Dept.Tumor.Genet.Biol. Kumamoto Univ.Sch.Med. 3Tokyo Res.Labs.,Kyowa Hakko)

(目的)p53が細胞周期制御とともにアポトーシスを誘導することはよく知られているが、その2つを分岐する分子機構は未だ明らかにされていない。今回我々はp53のアポトーシスを抑制する遺伝子の単離を試み、得られた遺伝子の解析を行った。(方法)p53欠失細胞株Saos2はアデノウイルスによってp53を強制発現することにより72時間以内にアポトーシスを誘導できる。この細胞にEBNA-1遺伝子を導入し安定発現株を得た後Hela細胞より作成した発現cDNA ライブラリーを導入した。ここにp53発現アデノウイルスを感染させアポトーシスを回避した細胞からプラスミドを回収、単離したところ、癌の転移抑制遺伝子として知られるNM23との相同性をもつ新規遺伝子がクローニングでき、IPIA-α(Inhibitor of p53 induced apoptosis-α) と命名した。IPIA-αは194アミノ酸をコードする遺伝子で、染色体3番の短腕に位置していた。IPIA-αのmRNAはubiquitousに発現しており、骨格筋などで特に強い発現が見られた。GST fusion蛋白はNM23とおなじくNDPキナーゼ活性を示した。さらにペプチドでモノクローナル抗体を作成し、細胞内局在を検討したところ主に細胞質に分布し一部は微小管との共局在することが確認できた。IPIA-αは細胞死や細胞骨格の形成などの現象に関与すると考えられる。