ABSTRACT 288(5-8)
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ヘビ毒由来アポトーシス誘導因子、Apoxin Iの哺乳類細胞における遺伝子発現による解析:鳥居 慎一1,2,馬島 哲夫1,内藤 幹彦1 ,芳賀 直実1,鶴尾 隆1,31東大・分生研・分子活性、2ヤンセン協和、3癌研・癌化療セ)

Characterization of apoptosis inducing factor, Apoxin I, in mammalian expression system: Shinichi TORII1,2, Tetsuo MASHIMA1, Mikihiko NAITO1, Naomi HAGA1, Takashi TSURUO1,3 (1Inst. Mol. Cell. Biosci., Univ. Tokyo, 2Janssen-Kyowa Co. Ltd., 3Cancer Chemother. Ctr., Jpn. Fnd. Cancer Res.)

我々はこれまでにガラガラヘビ毒由来のアポトーシス誘導因子Apoxin Iを精製し、その精製タンパクから得られたペプチドシークエンスより本遺伝子をコードするcDNAクローニングに成功したことを報告した。Apoxin Iは55KDaの糖タンパク質で、L-アミノ酸酸化酵素に高いホモロジーを有し、L-アミノ酸を酸化によって生じるH2O2により標的細胞にアポトーシスを誘導する。またcDNAの解析によりApoxin I遺伝子はシグナルペプチド、FAD結合領域および膜貫通領域を有することが判明した。
今回我々はApoxin I遺伝子を哺乳類細胞に発現させる目的でExpression vectorに組み込みその遺伝子の機能解析を試みた。Apoxin I遺伝子を293T細胞にリン酸カシウム法にてTransfectionしたところ、293T細胞内に発現したApoxin IタンパクはL-アミノ酸酸化酵素(LAO)活性を示す活性化体となり細胞外に分泌されることが示された。一方、細胞内に存在するApoxin Iタンパクは抗Apoxin I抗体及び抗HA抗体を用いたWestern blotting法にて測定すると細胞外に分泌される活性化体より低分子量であり、LAO活性を全く示さない非活性化体であった。このことよりApoxin I遺伝子は哺乳類細胞内にてpost-translationalな修飾を受け活性化体となり細胞外に分泌されることが示唆された。同時に細胞内の過酸化物質を特異的蛍光プローブにて検出し、FACScanにて測定するとApoxin I 遺伝子導入群のみに過酸化物質の上昇を認めることにより、細胞外で発生したH2O2がAutocrine的に細胞内の過酸化物質を上昇させ、標的細胞にアポトーシスを誘導すると考えられた。