ABSTRACT 294(5-9)
Poly (ADP-ribose) polymerase遺伝子欠損マウス系統の樹立及びその性状 : 益谷美都子1、野崎中成1、落谷孝広2、若林敬二3、鈴木宏志4、中釜 斉1、杉村 隆1(国立がんセ・研・1生化、2分子腫瘍、3がん予防、4中外製薬)
Generation and characterization of poly(ADP-ribose) polymerase-deficient mouse: Mitsuko MASUTANI1, Tadashige NOZAKI1, Takahiro OCHIYA2, Keiji WAKABAYASHI3, Hiroshi SUZUKI4, Hitoshi NAKAGAMA1 ,Takashi SUGIMURA1 (1Biochem. Div., 2Genetics Div., 3Cancer Prev. Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst., 4Chugai Pharm. Co., LTD.)
Poly (ADP-ribose) polymerase (Parp, EC 2.4.2.30)は、 DNA鎖切断端に結合し、速やかに活性化され、NADを基質としてポリ(ADP-リボース)を合成する。 がん化及びDNA修復応答における Parpの機能を解明することを目的とし、ジーンターゲティングにより Parpを欠損したマウス系統の樹立を行った。昨年本学会総会で Parp 遺伝子 exon 1をジーンターゲティングにより破壊したマウスParp+/- 及びParp-/- 胚性幹(ES)細胞株の樹立を報告した。このParp+/-ES細胞株をICRマウス胚に導入し、キメラマウスを作成後、ICRマウスとの交配によりParp+/- マウスを得た。更にParp-/- マウスが致死性を示さず得られた。Parp-/- マウスの遺伝的背景は129Sv/J及びICRから成る。Parp蛋白質発現及びその活性は、Parp-/- マウスでは消失していた。Parp-/- マウスは発生過程の異常や不妊性を示さなかったことから、Parpの機能はマウスの発生には必須でないことが明らかになった。またParp-/- マウスにおいては、Wangらが報告した皮膚の過形成、脱毛傾向や肥満性は認められなかった。現在、発がん物質やガンマ線照射によるDNA損傷に対する感受性について検討している。