ABSTRACT 295(5-9)
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ras遺伝子の機能重複 : 市瀬 広武,中村 健司,中尾 和貴,饗場 篤,勝木 元也 (東大・医科研・ヒト疾患)

Redundant and distinct functions of three ras genes : Hirotake ICHISE,Kenji NAKAMURA,Kazuki NAKAO,Atsu AIBA,Motoya KATSUKI (Dept.DNA Biol.and Embryo Engineering, Inst.Med.Sci.Univ.Tokyo )

哺乳類において、Ras (H,N,K-Ras) は細胞内情報伝達に関与する重要なタンパク質であると考えられている。生体内におけるRasの機能を明らかにするため、各ras遺伝子の欠損マウスを作成し、それらの交配により2重・3重欠損マウスを作成した。その結果、マウスの発生にはK-Rasが必要かつ十分であることがわかった(97年本大会)。今回は、ras遺伝子欠損マウスとH-ras遺伝子導入マウス(rasH2マウス)との交配により、ras遺伝子欠損・H-ras遺伝子導入マウスを作成した。K-ras (-/-)マウスは胎生致死であるが、rasH2マウスと交配することで得たK-ras (-/-) rasH2マウスは、個体として得られた。また、H-ras遺伝子のみが発現しているN-ras(-/-) K-ras(-/-) rasH2マウスも個体として得られた。このことは、K-Rasの機能が、C末端領域のアミノ酸配列の相違にかかわらず、H-Rasで置き換え得ることを示している。 現在、K-ras(-/-) rasH2マウスやN-ras(-/-) K-ras(-/-) rasH2マウスをras遺伝子欠損マウスと比較することで、成熟個体においてRasの機能分担があるかどうかを検討している。