ABSTRACT 296(5-9)
 一般演題一覧 トップ 


ラットTsc1遺伝子の構造解析とラット腎癌における変異: 佐竹宣法1,2,小林敏之1,泉 啓介2,樋野興夫1 (1癌研・研・実験病理, 2徳島大・医・二病理)

Molecular cloning and characterization of the rat Tsc1 gene and mutations in rat RCs: Nobuo SATAKE1,2, Toshiyuki KOBAYASHI1, Keisuke IZUMI2, Okio HINO1 (1Dept. Exp. Pathol. Cancer Inst.,2 2nd. Dept. Pathol., Sch. Med., The Univ. Tokushima)

【目的】我々はヒト結節性硬化症(TSC)の原因遺伝子であるTSC2遺伝子の変異モデルEkerラットの腎発癌機構を解析している。また我々はTsc2遺伝子変異はEkerラットだけでなく通常のラット化学誘発腎癌においても見いだされることを報告した(in press)。最近、同じ臨床症状を呈するもう一つの原因遺伝子、TSC1遺伝子が単離・同定された。我々はEkerラットの腎発癌機構の解明にTSC1 homologueの解析が有益な情報を与えると考え、ラットTsc1cDNA及びTsc1DNAの構造解析を行った。同時にラット腎癌におけるTsc1遺伝子の変異についても検索した。【方法】ヒトTSC1cDNAをプローブとしてWisterラットgenomic DNAライブラリーより全コーディングエクソンを網羅するクローンを単離し、エクソン・イントロン構造を決定した。それを基にプライマーを設定し、Diethylnitrosamine(DEN)、N-ethyl-N-hydroxyethylnitrosamine(EHEN)誘発ラット腎癌およびLECラット自然発症腎癌におけるTsc1遺伝子変異をPCR-SSCP法にて検索した。【結果】ラットTsc1遺伝子は1163アミノ酸からなる産物をコードし、ヒトTSC1遺伝子産物と86.3%の相同性が認められた。エクソン・イントロン構造もよく保存されていた。DEN、EHEN誘発腎癌、LECラット腎癌におけるTsc1遺伝子変異についても報告する。