ABSTRACT 300(5-9)
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ヒト神経分化関連蛋白neuralized結合蛋白の同定とその性状解析: 上野美佳子1.2,吉田光宏2,中村英夫1,世良好史2, 佐谷秀行1 (熊本大・医・腫瘍1、同・小児外2)

Cloning and characterization of a novel protein that binds to human neuralized protein: Mikako UENO1.2,Mitsuhiro YOSHIDA2, Hideo NAKAMURA1, Yoshihisa SERA2, Hideyuki SAYA1 (Dept. of Tumor Genet. Biol.1, Dept of Ped. Surg.2, Kumamoto Univ. Sch. of Med.)

【目的】前回我々はショウジョウバエ神経分化関連遺伝子neuralizedのヒト相同遺伝子(h-neu)が悪性脳腫瘍の高頻度欠失領域(10q25.1)に存在することを見いだし、その発現特性を報告した。今回我々はh-neuの機能を明らかにするためh-neu遺伝子産物の結合蛋白の単離を試みた。【方法】1.ヒト成人脳cDNAライブラリーを用いてtwo hybrid systemによるスクリーニングを行った。2.radiation hybrid細胞及びmonochromosomal hybrid panelを用いて染色体座位を決定した。3.発現組織分布をノーザンブロットで検討した。【結果】1.h-neuのRING finger ドメインと結合する約400bpのフラグメントが同定された。これをもとにコード領域全長cDNAを単離したところN端側にEnaやVASPのEVH1ドメインと相同のドメインを有する新規蛋白をコードする遺伝子であり、neubel (neuralized binding EVH-like protein) と名付けた。neubelは、けいれんを誘発したラット海馬に特異的に発現し代謝型グルタミン酸レセプターと結合するHomer蛋白と高い相同性を示した。GST-h-neu融合蛋白を用いたin vitroの実験により両者の結合が確認された。2.染色体座位は15q25であった。3.mRNAの発現は膵臓、骨格筋、心臓に高く、正常脳では比較的低かった。【考察】EVHドメインを持つ蛋白はHomer、Ena、VASPなどが同定されており、細胞骨格やレセプターに会合するシグナル蛋白としての役割が考えられる。現在h-neuとneubelの相互作用の意義を解析中である。