ABSTRACT 337(6-1)
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ヒトa2,3シアル酸転移酵素(hST30/N)遺伝子の細胞特異的転写調節:谷口彰良、松本宏治郎(東邦大・薬)

Cell type specific transcriptional regulation of human a2,3-sialyltransferase gene (hST30/N) : Akiyoshi TANIGUCHI, Kojiro MATSUMOTO (Sch. of Pharmaceut. Sci.,Toho Univ.)

【目的】シアル酸は糖鎖の非還元末端に存在し細胞同士の接着などに関与している。シアル酸の発現は組織特異的であり、その発現の異常は癌の悪性化に関与している場合がある。シアル酸の合成を調節しているシアル酸転移酵素遺伝子の発現やその調節には細胞種特異性がある。我々はシアル酸転移酵素遺伝子の一つであるhST3O/Nについて扁平上皮細胞の分化に伴う発現調節を検討した。その結果、細胞の分化に伴いこの遺伝子の発現か減少することを明らかにし、この変化に関わるエンハンサー領域(DRE)を同定している(BBRC,243,177-183,1998)。本研究ではDREの機能をさらに検討する目的でhST 3O/Nの細胞種特異的転写調節について検討した。
【方法と結果】hST3O/N 遺伝子のB3プロモーターの5'-側から段階的に欠損を加えたDNA断片を作成し、その下流にルシフェラーゼ遺伝子を導入した組み替え体を作成した。これらのプラスミドをヒト上皮細胞由来の癌細胞株とヒト血球系由来の細胞株に導入しルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、DREは上皮細胞株でエンハンサー活性を示したが、血球系細胞株ではエンハンサー活性は示さなかった。従って、DREは上皮細胞に特異的なエンハンサーであると考えられた。さらに、血球系細胞株のエンハンサーはDREとは別の領域に存在した。現在、この領域に結合する転写因子について検討中である。