ABSTRACT 338(6-1)
癌関連糖鎖抗原STn抗原を合成するシアル酸転移酵素 (human ST6GalNAc I) 遺伝子のクロ−ニングとその発現:池原 譲 1、小島直也 2、 工藤 崇 1、西原祥子 1、諸角強英 3,、辻 崇一 2、成松 久 1 (1創価大・生命研・細胞生物、2理研・フロンティア・糖遺伝情報、3,福生病院・外科)
Cloning and expression of a human gene encoding α2,6-sialyltransferase which synthesizes cancer-associated Sialyl- Tn antigens:Yuzuru IKEHARA 1, Naoya KOJIMA2, Takashi KUDO 1, Shoko NISHIHARA 1, Kyoei MOROZUMI3,, Shuichi TSUJI2, Hisashi NARIMATSU 1 (1Div. of Cellbiol. Inst. of Life Sci., Soka Univ., 2 Dept.of Glyco. Mol. Biol., Frontier, RIKEN., 3, Div. of Sur., Hussa Hosp.,)
Sialyl Tn (STn) 抗原は 癌化に伴って出現し予後と相関する事が知られ、悪性度を決定する要因の一つと考えられている。胃癌をはじめとして各種癌組織におけるSTn抗原合成酵素遺伝子の発現、および悪性度に及ぼす機構を解析するために、STn抗原を高発現することが知られているヒト腸上皮化生性胃粘膜からSTn 抗原合成シアル酸転移酵素をクローニングした。単離した遺伝子はニワトリ由来のST6GalNAc I に最も高い相同性(アミノ酸レベルで55%)を示した。腸上皮化生粘膜や胃癌等の組織を用いてin situ hybridization法と免疫染色により、mRNAの局在とSTn抗原の局在を検討したところ、両者は一致した。一方、発現ベクターに組み込み安定導入株を樹立し、flow cytometry 及びWestern blotting 解析を行ったところ、ムチンタンパク質上に STn 抗原を発現するようになったことが確認された。
(結語) 病理組織学的に示されてきた癌化および腸上皮化生に伴って出現する STn 抗原は、今回我々がクローニングした酵素により合成されていることを強く示唆した。