ABSTRACT 340(6-1)
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ヒトalpha1-6Fucosyltransferase の遺伝子解析:山口幸洋,魚住尚史,池田義孝,藤井順逸,谷口直之(阪大・医・生化)

The genomic structure of the human α1-6fucosyl-transferase gene : Yukihiro YAMAGUCHI, Naofumi UOZUMI, Yoshitaka IKEDA, Junichi FUJII, Naoyuki TANIGUCHI (Dept. of Biochem., Osaka Univ., Med. Sch.)

α1-6Fucosyltransferase (alpha1-6FucT) はアスパラギン結合型糖鎖の還元末端のGlcNAc,いわゆるinnermost GlcNAc にフコースを転移する酵素である.α1-6フコースは肝癌患者の産生するalphaphetoprotein (AFP) で増加していることが知られている.我々はヒトとブタより本酵素の精製とクローニングを行い,報告している.今回ヒトα1-6FucT のゲノムの構造解析を行った.ヒトα1-6FucT のcDNA をプローブに用いてヒトゲノムのファージライブラリーよりプラークハイブリダイゼーションによって本遺伝子をコードするDNA断片を複数クローニングし,各々の制限酵素マップを作製すると共に,cDNAとハイブリダイズするDNA断片の塩基配列を決定してエキソンとイントロンの境界を決めた.そして,クローン間でイントロンのオーバーラップがなかった箇所についてはヒトのゲノムDNAをサンプルにLA-PCR並びにFIGE法によるパルスフィールド電気泳動を併用したサザンハイブリダイゼーションによりその距離を決定した.さらに,5'RACEを行い,転写開始点を検討した.その結果,本酵素をコードする遺伝子は全長が 50 kbp 以上に及び,その翻訳領域は既知の多くのFucosyltransferase と異なり,複数(8個)のエクソンに分断されていることが判った.また,5'非翻訳領域も複数のエキソンに分かれていた.