ABSTRACT 342(6-1)
ヒト肝癌細胞株における硫酸化糖脂質群の発現と硫酸基転移酵素遺伝子hCSTの転写活性化:平岩 望,神奈木玲児(愛知がんセ・二病)
Accumulation of various sulfated glycosphingolipids and transcriptional induction of cerebroside sulfotransferase gene in human hepatocellular carcinoma:Nozomu HIRAIWA,Reiji KANNAGI (Experimental Pathology, Aichi Cancer Center)
硫酸化糖脂質は血小板粘着能などの血液凝固系との関連や癌転移における働き等が報告されており、癌進展・病態に強く関与することが示唆されている。今回我々は種々の硫酸化糖脂質の発現を、樹立したヒト肝癌細胞株糖脂質に対するモノクローナル抗体及び[35S]-metabolic labelingを用いて検討し、またcerebroside sulfotransferase 遺伝子の転写発現をNorthern Blotにて解析した。モノクローナル抗体はヒト肝癌細胞株、PLC/PRF/5及びHepG2を免疫して癌細胞由来酸性糖脂質に対する特異性により選別した。Metabolic labelingはfree [35S]-SO4を培養液中に混入し、糖脂質を抽出後、TLCにて解析した。Human cerebroside sulfotransferase (本家孝一先生より御供与)の遺伝子の転写発現の検討はGuanidine-CsCl法によりRNA抽出後、Northern Blotにて解析した。ヒト肝癌細胞株に対するモノクローナル抗体は硫酸化糖脂質SM3, SB1a及び未知の酸性糖脂質を各々認識していた。同時にChang liver cellでは認められなかった硫酸化糖脂質群が複数の肝癌細胞株に発現を認め、その程度も含めcerebroside sulfotransferase遺伝子の転写発現と強く相関していることを認めた。