ABSTRACT 344(6-1)
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ガングリオシドGM3による細胞増殖の制御機構-糖鎖リモデリングによる解析-:福本敏1,2、宮崎宏1、浦野健1、古川圭子1、大石秀人1、岡島徹也1、後藤讓治2、古川鋼一11名大、医、生化2、2長崎大、歯、小児歯)

Regulatory mechanisms of cell proliferation by ganglioside GM3 - Analysis by carbohydrate remodeling - : Satoshi FUKUMOTO1,2, Hiroshi MIYAZAKI1, Takeshi URANO1, Keiko FURUKAWA1, Hideto Oishi1, Tetsuya OKAJIMA1, George GOTO2, Koichi FURUKAWA1 (1Dept. of Biochem II, Nagoya Univ. Sch. Med., 2Dept of Ped. Dent., Nagasaki Univ. Sch. Dent.)

[目的]シアル酸を有する酸性糖脂質ガングリオシドは細胞の増殖・分化の制御に重要な役割を演じていると思われるが、その機構は明らかでない。我々は、マウスcDNAライブラリーより発現クローニング法を用いてGM3合成酵素遺伝子のcDNAを単離し、GM3発現の細胞増殖に与える影響について解析を行った。[方法]マウス線維芽細胞腫の細胞株であるL cellに、マウス線維肉腫細胞CMS5j由来のcDNAライブラリーより単離したGM3合成酵素(α2,3シアル酸転移酵素)遺伝子を導入し、安定発現細胞株を作成した。これらの細胞株の細胞表面ガングリオシドの発現パターン及び細胞増殖能の変異について解析を行った。[結果と考察]発現クローニング法により、1077bpのORFを含む1710bpのcDNAを単離した。その過程に加え、シアリルモチーフの存在や基質特異性からGM3合成酵素遺伝子であることを確認した。そこで本遺伝子をL cellに導入し安定発現細胞株を作成した。フローサイトメトリーによる解析では、親株ではGM3の発現はほとんど認められないが、GM3合成酵素遺伝子導入細胞株ではGM3の高発現が認められた。また、遺伝子導入細胞の形態に著しい変異は認められなかったが、MTT法による細胞増殖能の解析では、親株に比べ2倍程度の細胞増殖能の亢進が認められた。以上のことより、GM3の発現がL cellの増殖を促進していることが示唆された。現在、GM3の細胞増殖作用のメカニズムにつき検討中である。