ABSTRACT 345(6-1)
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α1-6Fucosyltransferase(α1-6FucT)の過剰発現による肝癌細胞のリモデリング:三善英知1,2、野田勝久1,2、池田義孝1、魚住尚史1、林 紀夫2、谷口直之1(阪大・医・1生化学、2一内)

Remodeling of hepatoma cells by overexpression of α1-6FucT : Eiji MIYOSHI1,2, Katsuhisa NODA1,2, Yoshitaka IKEDA1, Naofumi UOZUMI1, Norio HAYASHI2, Naoyuki TANIGUCHI1 (1Dept. of Biochem. and 2First Dept. of Medicine, Osaka Univ. Med. Sch.)

【背景】α1-6FucTは、N型糖鎖の根元のGlcNAcにフコースを転移する酵素である。近年、α1-6フコースのついたα-fetoprotein(AFP)を産生する肝癌は、肝内転移、門脈浸潤が高頻度に見られるという報告をみる。本研究では、肝癌細胞にα1-6FucT遺伝子を高発現させ、その生物学的特性を検討した。
【方法】遺伝子導入により恒久的にα1-6FucTを高発現するヒト肝癌細胞Hep3Bを作成した。遺伝子の発現はノザン 法にて検討し、N型糖鎖の解析は、LCA blotにて行った。肝癌の実験的転移モデルとしては、1X106個の細胞をヌードマ ウスに経脾的に注入し、肝臓での腫瘍形成能とそのメカニズムを検討した。
【結果】α1-6FucTを高発現するHep3B細胞では、フコシル化された糖タンパク質が増加し、ヌードマウスにおける肝転移が抑制された。この細胞では、浸潤能に差を認めず、肝臓の非実質細胞との接着性が弱かった。
【結論】 α1-6FucTを高発現した肝癌細胞では、接着能の低下により肝転移が抑制された。