ABSTRACT 346(6-1)
Ley抗体による大腸癌の血液凝固活性抑制:若野司1,犬房春彦1,足立俊之2,中嶋章浩1,安藤理3,鈴木基之3,栗本雅司3,進藤勝久1,安富正幸1(1近畿大・医・一外,2鳥潟病院・外,3林原生物化学研)
Inhibitory Effect of Ley Antibody on Procoagulant Activity of Colorectal Cancer : Tsukasa WAKANO1,Haruhiko INUFUSA1,Toshiyuki ADACHI2,Akihiro NAKAJIMA1,Osamu ANDO3, Motoyuki SUZUKI3,Masashi KURIMOTO3,Katsuhisa SINDO and Masayuki YASUTOMI1(1First Surgery, Kinki University School of Medicine,2Surgery ,Torigata Hospital,3Hayashibara Biochemical Laboratories Inc.)
【目的】cancer cell-derived blood coagulating activity 1 (CCA-1)は癌細胞の血液凝固活性物質の一つで,LeyはCCA-1のco-factorとして働く.Leyは大腸癌において高率に発現している. Ley抗体による大腸癌組織の血液凝固活性への影響を検討した. 【材料・方法】進行大腸癌症例15例より正常大腸粘膜及び大腸癌組織を採取し,組織をホモゲナイズして得られた抽出液の正常血漿における凝固時間を測定し,Ley抗体FS01添加による凝固抑制を比較検討した.【結果】正常大腸粘膜はFS01添加で凝固活性の変化は認められなかった. 大腸癌組織では15症例中7例において凝固活性の抑制が認められ,抑制率は最大78.4%であった.【考察】凝固が抑制されない症例はCCA-1の酵素蛋白画分との結合の程度が異なるためと考えられた.大腸癌組織においてFS01で抑制されない凝固活性は組織因子などの他のプロコアグラントによるものと考えられる.Leyは大腸癌のCCA-1を介した血液凝固活性に重要な役割を果たしていることが明らかになった.