ABSTRACT 350(6-2)
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E-cadherin の限定分解における蛋白分解酵素の関与について: 福地成晃、土岐祐一郎、矢野雅彦、井上雅智、辻仲利政、塩崎 均、門田守人(阪大・医・2外)

E-cadherin is degradated by protease? : Nariaki FUKUCHI, Yuichiro DOKI, Masahiko YANO, Masatoshi INOUE, Toshimasa TSJINAKA, Hitoshi SHIOZAKI, Morito MONDEN (Dept.of Surg.II, Osaka Univ. Med. Sch.)

我々はこれまでに細胞間接着分子E-cadherin(ECD)の限定分解産物である80kDの可溶性fragmentが、癌患者の末梢血中および癌組織で増加していることを報告してきた。今回、これが癌細胞の産生する蛋白分解酵素によるものかどうかを検討した。
 ECD分解酵素であるTrypsinをcontrolとし、エタノール固定A431細胞を基質としたECD分解活性測定系を確立した。6種類の癌細胞株の培養上清のECD分解活性を測定したところ、3株は高度の2株は中等度のECD分解活性を示したが、残りの1株はECD分解活性を殆ど示さなかった。ECD分解活性とWestern blotによる蛋白発現量との間に一定の傾向は見られなかった。しかし、ECD分解活性の強いものの中には免疫染色にてECDが細胞間だけではなく細胞膜全体にびまん性に見られるものもあった。この、ECD分解活性はserine protease inhibitorにより阻害された。一方、ヒト癌組織抽出液中にもこのECD分解活性は認められた。
 癌細胞、癌組織におけるECD分解活性の存在が明らかになった。酵素の同定を行うと共に、この活性と腫瘍の浸潤、転移能との関係を合わせて検討し報告したい。