ABSTRACT 352(6-2)
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子宮内膜癌癌化機構における細胞接着分子の生物学的意義 :宮本新吾 1、馬場秀夫2 、岡留雅夫1 、福田敏郎3 、黒田真也 4、貝淵弘三 4、斎藤俊章11九州がんセ・婦、 2外、 3病理、 4奈良先端・細胞)

Biological Roles of Cell Adhesion Molecules in the Endometrial Cancer :Shingo MIYAMOTO1 ,Hideo BABA2 ,Masao OKADOME1 ,Toshiro FUKUDA3 ,Sinya KURODA 4, Kozo KAIBUCHI 4,Toshiaki SAITO1 ( 1Gynecol.Oncol., 2Surgical Oncol., 3Pathol.,Natl.Kyusyu Cancer Center, 4Divi.of Signal Trans.,Nara Insti.)

【目的 】本研究は、子宮内膜癌癌化過程における細胞接着機構の変化をIn vivoおよびIn vitroから解析し、癌化における細胞接着分子(AM)の役割を明らかにすることを目的とした。【方法】1)正常子宮内膜組織7例、子宮内膜癌組織15例の迅速凍結切片を用いて、各細胞接着部位に存在するAM・骨格分子(CM)の細胞内分布 2)子宮内膜癌細胞株HHUA,HHUAよりクローニングされ造腫瘍性を消失した細胞株FH2におけるAdherent Junction(AJ)に存在するAM・CMの細胞内分布 3)HHUA, FH2に対して細胞外ドメイン・細胞膜領域をInterleukin2 Receptor (IL-2R)α鎖とし細胞内ドメインにE-cadherin(E)の細胞内ドメイン、α-,β-,γ-Catenin(α,β,γ)を融合させたキメラ遺伝子を作製し、遺伝子導入後の細胞内分布を,蛍光免疫染色にて解析した。【結果】1)正常子宮内膜ではAM・CMおよびチロシンリン酸化蛋白(TP)が染色され、細胞接着機能が正常に維持されていた。子宮内膜癌組織では発癌に伴い、AJにおいてE,α,β,γのび漫性な蛍光発色を認め、IQGAP(IQ)の消失とTPの消失が観察された。 2)細胞間接着機能の復帰したFH2では細胞間接着部位に E,β,γが線上に染色された。αおよびIQは両細胞とも発現していなかった。3)HHUAではキメラ遺伝子蛋白は細胞間に集積せず、FH2ではIL-2R plus E,β,γは細胞間に集積したがIL-2R plusαは集積しなかった。【結論】In vivoおよびIn vitroの結果より発癌過程でAJに存在するCMが多段階的に消失し細胞接着機能が障害されることが明らかとなった。