ABSTRACT 353(6-2)
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シンデカン―2によるインテグリンα5β1を介した細胞骨格形成の制御:草野由理1, 小栗佳代子1, 棟居聖一2, 小牧正人2, 岡山實21国立名古屋・臨床研, 2京都産業大・工)

Syndecan-2 regulates integrin a5b1-mediated induction of cyto-skeletal organization : Yuri KUSANO1, Kayoko OGURI1, Seiichi MUNESUE2, Masato KOMAKI2 and Minoru OKAYAMA2 (1Clin. Res. Inst., Natl. Nagoya Hosp., 2Facul. Eng., Kyoto Sangyo Univ.)

マウス・ルイス肺癌由来高、低転移性株細胞がフィブロネクチン(FN)基質接着依存的に示す細胞応答性から、細胞膜型ヘパラン硫酸プロテオグリカン(CM-HSPG)がインテグリンα5β1のFN結合情報を異なる情報に変換することを明らかにしてきた。そのCM-HSPGを同定するため、両株細胞における発現量を検討したところ、mRNAレベル、タンパク質レベルで両株細胞とも細胞膜貫通型のシンデカンファミリー、GPI-アンカー型(細胞膜貫入型)のグリピカンファミリーに属する6分子種のHSPGを発現していることが確認され、その発現量に分子間、株間で異同が観察された。今回、これらCM-HSPGのうちシンデカンー2が上記活性をもつことを同定したので報告する。[方法]グリピカンファミリーの関与はGPI-アンカー部位を切断するホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼC消化により、また両株細胞間で発現量に最も差のあったシンデカンー2の関与は、タンパク芯mRNAのアンチセンスヌクレオチド導入により、FN基質に対する両株細胞の応答性の変化を検討した。[結果]ホスホリパーゼC消化によって両株細胞のFN基質に対する応答性に変化がなかったことから、グリピカンファミリーがインテグリンα5β1の制御に関与しないことが示唆された。シンデカンー2タンパク芯のアンチセンスヌクレオチド導入により、低転移性細胞のストレスファイバー形成はラフリング膜形成に変化したが、高転移性細胞のラフリング膜形成は影響を受けなかった。この結果からインテグリンα5β1と協調作用するCM-HSPGはシンデカンー2であることが示されるとともに、この作用には発現量に閾値があることが示唆された。これらの結果に基づき、腫瘍細胞の転移におけるシンデカンー2の機能について考察する。