ABSTRACT 357(6-2)
F-アクチン結合蛋白質l-AfadinとNeurabin-IIの細胞間接着部位への局在化機構:匂坂敏朗1,中西宏之2,萬代研二2,佐藤綾子2,高橋健一2,高石健司1,高井義美1,2(1阪大・医・分子生理化学,2科学技術振興事業団・ERATO・高井生体時系プロジェクト)
Different mechanisms of association of l-Afadin and Neurabin-II with the plasma membrane at cell-cell adhesion sites:
Toshiaki SAKISAKA1, Hiroyuki NAKANISHI2, Kenji MANDAI2, Ayako SATOH2, Kenichi TAKAHASHI2, Kenji TAKAISHI1, Yoshimi TAKAI1,2 (1Dept. Mol. Biol. & Biochem., Osaka Univ. Med. Sch., 2Takai Biotimer Project, ERATO, JST)
最近、私共は接着帯に局在するF-アクチン結合蛋白質l-Afadinを、また接着帯を含めたCadherinの存在する細胞間接着部位に局在するNeurabin-IIを単離、同定している。そこで今回、私共は細胞間接着部位におけるl-AfadinとNeura-bin-IIの局在化機構を検討した。これまで私共はRac低分子量G蛋白質が細胞間接着を制御していることを明らかにしている。Racのdominant active変異体(RacDA)を発現させたMDCK細胞では、野生株の細胞と比べて細胞間接着部位でCadherin,b-Catenin,F-アクチンと共にNeurabin-IIが増加し、Racのdominant negative変異体(RacDN)を発現させた細胞では、これらすべての蛋白は減少していた。一方、l-AfadinはZO-1と共に、RacDA発現細胞、RacDN発現細胞の細胞間接着部位で増減しなかった。MDCK細胞を低Ca2+濃度で培養すると、接着帯と密着帯は共に消失し、Neurabin-IIはCadherinと共にdiffuseな分布を示したが、l-AfadinとZO-1は細胞膜上にリング状の構造を示した。MDCK細胞を低Ca2+濃度で培養後、Protein Kinase Cの活性化物質TPAを加えると、接着帯は形成されないが、密着帯様の細胞間接着が形成される。この条件下のMDCK細胞において、l-AfadinはZO-1と共に密着帯様の細胞間接着部位に局在したが、Neurabin-IIはCadherinと共に細胞間接着部位へ局在しなかった。これらのことより、l-AfadinとNeurabin-IIは異なった機構で接着帯に局在することが示唆された。