ABSTRACT 358(6-2)
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接着帯に局在するF-アクチン結合蛋白質 l-Afadin とその結合蛋白質:萬代研二1、中西宏之1、高橋健一1、宮原昌子1、高井義美1,21科学技術振興事業団・ERATO・高井生体時系プロジェクト、阪大・医・分子生理化学)

l-Afadin and its binding proteins localized at adherens junction: Kenji MANDAI1, Hiroyuki NAKANISHI1, Kenichi TAKAHASHI1, Masako MIYAHARA1, Yoshimi TAKAI1,2 (1Takai Biotimer Project, ERATO, JST, 2Dept. Mol. Biol. & Biochem., Osaka Univ. Med. Sch.)

l-Afadin は、PDZ ドメインをその中央部に、F-アクチン結合ドメインをそのC末端部にもつ分子であり、アクチン束を接着帯に結合させる裏打ち蛋白質の一つとして、私共の研究室で単離、同定された。癌の浸潤の分子過程を理解するためには、接着帯 の分子機構の解明が必須である。今回私共は 、接着帯 に存在する、l-Afadin 結合蛋白質の単離、同定および性状解析を行った。その結果、ラット肝臓において、35S でラベルした l-Afadin のオーバーレイ法により検出される、SDS-PAGE 上分子量約90 kDa の蛋白質 (p90) を同定した。この蛋白質を種々のカラムクロマトグラフィーにより単離し、その部分アミノ酸配列より1次構造を決定した。l-Afadin とp90 をCOS 細胞に発現させ免疫沈降実験を行ったところ、両者はほぼ1対1の割合で結合していた。種々の p90 変異体蛋白質の解析によって、 l-Afadin 結合ドメインは p90 のC末端部に位置していた。p90 のNorthern blot によると、その臓器発現は普遍的であった。p90 を認識する抗体で肝臓の細胞内分布を Western blot により検討したところ、確かに、p90 は接着帯画分に濃縮されていた。現在、この分子のさらなる詳しい性状解析を行っている。