ABSTRACT 359(6-2)
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ヒト非小細胞肺癌(NSCLC)培養細胞株におけるカルポニン遺伝子発現とP53遺伝子変異との関連:新田 隆1、山村倫子4、平島智徳1、小宮武文1、小林政司1、益田典幸1、松井 薫1、高橋克仁4、安光 勉2、菊井正紀3、川瀬一郎11大阪府羽曳野病第2内科、2外科、3病理、4大阪成人セ研究所)

The relationship between expression of calponin gene and p53 gene mutations in human NSCLC cells: Takashi NITTA1, Hisako YAMAMURA3, Tomonori HIRASHIMA1, Takefumi KOMIYA1, Masashi KOBAYASHI1, Noriyuki MASUDA1, Kaoru MATSUI1, Katsuhito TAKAHASHI3, Masanori KIKUI2, Ichiro KAWASE1 (1Dept.of 2nd Int. Med.,2Dept.of Surgery, 3Dept.of Pathol., Osaka Prefectual Habikino Hosp., 4Dept. of Med.,Osaka Med.Ctr.Cancer and Cardiovasc.Dis.)

[目的、方法]カルポニンは、平滑筋細胞のアクチン、トロポミオシン結合蛋白として単離、命名された。等電点の違いにより、平滑筋に特異的に発現する塩基性(h1)、平滑筋以外の上皮系細胞に発現する中性(h2)および酸性(acidic)の3種類のアイソフォームに分けられる。カルポニンのN末端領域はVav癌遺伝子産物の発癌抑制ドメインと相同性を有することからカルポニンは平滑筋の収縮、弛緩機能の調節だけでなく、細胞増殖や分化に関与している可能性が示唆される。今回、我々はヒトNSCLC培養細胞株15例においてカルポニンh1、h2およびacidic遺伝子のmRNA発現をRT-PCR法にて検討した。あわせてp53遺伝子変異をPCR-SSCP法にて確認し、カルポニンとの関連性を検討した。[結果]カルポニンh1遺伝子は1例のみ低発現があった。カルポニンh2遺伝子は8/15例(53%)に高発現を認め、4例は低発現、3例は発現がなかった。カルポニンacidic遺伝子は5例に発現があった。p53のmutationは7/15例に認めた。h2遺伝子とacidic遺伝子の発現には有意な相関があった(p=0.026,Fisher'stest)。h2遺伝子の発現量とp53遺伝子変異の頻度は逆相関を示した(p=0.021,Fisher'stest)。[結論]ヒトNSCLC培養細胞株におけるカルポニン遺伝子の発現を初めて明らかにした。カルポニンh2遺伝子の発現がp53遺伝子によって制御されている可能性が示唆された。