ABSTRACT 387(7-3)
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Autucrine Motility Factor (AMF) の異常発現は,その受容体の発現亢進を伴う細胞運動を増強する:新中康史1,2,羽賀新世2,根岸明秀1,Avraham Raz2,天笠光雄11東京医歯大・歯・1口外,2Tumor Progression and Metasitasis Res. Program,Karmanos Cancer Inst.)

Overexpression of autocrine motility factor (AMF) confers cell locomotion via upregulation of its receptor: Yasufumi NIINAKA1,2, Arayo HAGA2, Akihide NEGISHI1, Avraham RAZ2, Teruo AMAGASA1 (11st Dept. of Oral and Maxillofac. Surg., Tokyo Med. and Dent. Univ., 2Tumor Progression and Metastasis Res. Program, Karmanos Cancer Inst.)

Autucrine Motility Factor(AMF)は,産生細胞の細胞遊走を誘導する因子として同定された蛋白である.我々は,AMFを肉腫細胞から単離・精製し,AMFに対する抗体を作製,AMFをコードする遺伝子を単離した.そしてAMFは分泌蛋白固有のsignal peptideを保有せず,細胞内ではいくつかのvaliant formを持つが,肉腫細胞ではmRNAレベル,蛋白レベルでAMFの発現が亢進され,57kDaの分子のみが選択的に分泌されることを既に報告した.本研究では,AMFの分泌とそれに引き続く細胞遊走のメカニズムを解明する目的でAMF cDNAをretrovirus発現ベクターを用いて線維芽細胞に誘導した.AMFを遺伝子導入した線維芽細胞では,AMFの分泌は小胞体-ゴルジ体を経由する古典的分泌経路をブロックする種々の薬物では阻害されず,新経路による分泌を亢進するcalcium ionophoreにより促進され,カルシウムのキレート剤であるEGTAにて阻害された.この細胞では大きな形態変化や細胞骨格蛋白の発現変化を伴わないが,AMF受容体の発現増強を伴い,chemotaxis,chemokinesisはともに増強された.また,この細胞は寒天アガロースでの増殖能を獲得したが,マウス内での造腫瘍性は獲得するには至らなかった.これらの結果はAMFに悪性形質転換能はないが,細胞遊走ならびに増殖に積極的に関わってることを示唆するものであった.我々はさらに,AMFを扁平上皮癌細胞に導入したところ,明かな形態変化とAMF受容体発現増強を伴う細胞遊走能亢進を示したので,線維芽細胞における結果と比較し,報告する.