ABSTRACT 390(7-3)
ラット腹水肝癌細胞 AH130 (MM1) の運動能および浸潤能に関与する接着分子: 綾城正子1,向井睦子1,今村文生2,岩崎輝夫3,萬本忠徳4,新貝清子1,中村博行1,明渡均1(大阪成人セ ・研・1腫生化,病・2内,4麻酔,3近畿中央病院 ・外)
Studies on adhesion molecules regulating motile and invasive capacities of rat ascites hepatoma AH130 (MM1) cells : Masako AYAKI1, Mutsuko MUKAI1, Fumio IMAMURA2, Teruo IWASAKI3, Tadanori MANMOTO4, Kiyoko SHINKAI1, Hiroyuki NAKAMURA1, Hitoshi AKEDO1(1Dept.of Tumor Biochemistry,2Internal Med.,4Anesthesiology, Osaka Medical Center of Cancer and Cardiovasc. Dis., 3Dept.of Surg., National Kinki Central Hospital for Chest Diseases )
(目的)我々は、in vitro モノレイヤー浸潤系において、MM1の中皮細胞層下への浸潤 は、血清またはリゾフォスファチジン酸(LPA) の刺激により誘導されることを報告してきた。今回、我々は、中皮細胞層の存在しないスライドグラス上での細胞運動について検討を行い、浸潤における運動、接着といった癌細胞側に関与する因子の同定、およびそのメカニズムの解析を行った。(方法)MM1細胞の運動の測定は、スライドグラス上で金コロイド法 (phagokinesis) により測定した。MM1細胞上の接着分子の検出は、flow cytometry により行った。(結果)1) スライドグラス上でのMM1の細胞運動は血清の添加によって誘導されるが、LPAの添加だけでは誘導されず、LPA以外に血清中の成分が必要であることがわかった。2) fibronectin (FN) をスライドグラス上にコートし、LPAを加えると、運動活性が認められた。3) これらの条件での運動活性は、cycloGRGDSPAペプチド, 抗FN 抗体によって阻害された。4) MM1細胞表面には, FN のcounter receptor であるbeta1-integrinの発現が認められた。5) in vitro 浸潤系においても、抗 FN 抗体、抗beta1-integrin抗体は、浸潤を阻害した。(考察)MM1の細胞運動は血清の添加あるいはLPAとFNの添加によって誘導され、中皮細胞層下への浸潤においても、これらの分子の関与が示唆された。