ABSTRACT 392(7-3)
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骨転移におけるRac及びCdc42の関与についてのヒト肺癌骨転移モデルを用いた検討:岩崎輝夫1,2, 向井睦子2, 綾城正子2, 東山聖彦3, 新貝清子2, 中村博行2, 森 隆1, 明渡 均2 (1国療近畿中央病・外, 2大阪成人セ・研・腫瘍生化, 3大阪成人セ・病・外)

Minor involvement of Rac or Cdc42 in bone metastasis of human lung cancer cells using nude-mouse model: Teruo IWASAKI1, 2, Mutsuko MUKAI2, Masako AYAKI2, Masahiko HIGASHIYAMA3, Kiyoko SHINKAI2, Hiroyuki NAKAMURA2, Takashi MORI1, Hitoshi AKEDO2 (1Dept. of Surg., Natl. Kinki Central Hosp. for Chest Dis., 2Dept. of Tumor Biochem., 3Surg., Osaka Med. Ctr. for Cancer and Cardiovasc. Dis.)

我々はラット腹水肝癌MM1細胞の形態変化・浸潤におけるRho, Rac, Cdc42の重要性について報告してきた。また、骨転移のメカニズムを解析するために、新たな投与法によるヒト癌ヌードマウス骨転移モデルを考案し報告してきた。今回、体循環により骨へ運ばれてきた癌細胞が、骨髄静脈洞から髄腔内へ侵入し溶骨性転移巣を形成する過程においてもRac及びCdc42が深く関与しているか否かを調べることを目的とした。PTHrP産生ヒト肺扁平上皮癌RWGT2細胞 (Texas大 米田俊之先生より供与)にdominant-negative form (DN) Rac 及びDN Cdc42 各cDNAを発現したpcDNA3 vectorをtransfection して安定発現cloneを作製した。これらの細胞を5週令雄ICRヌードマウスに300,000個/匹左心室腔内投与した。4週後にX線撮影し溶骨性骨転移巣を評価した。またHUVECへの接着能を測定した。DN Rac及びDN Cdc42 transfectant はHUVECに対する接着能が低下する傾向にあった。しかし、マウス1匹あたりの骨転移巣数及び算出した転移巣総体積においては有意な差を認めなかった。癌細胞が骨髄静脈洞から髄腔内へ侵入し転移巣を形成する過程において、Rac及びCdc42 の関与は比較的少ないことが推測された。