ABSTRACT 394(7-3)
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NOD/SCIDマウスを用いたヒトがんの浸潤・転移モデルの確立  ―ヒト骨・血管の再構築を通じて―: 山田健人1,2, 穂積信道2,3, Jasbir S. Sandhu4, 浮山越史1,5, 秦 順一11慶大・医・病理, 2ツムラ東洋医学, 3東京理科大・生命科学研, 4Lunenfeld研, 5浦和市立病院)

Establishment of metastasis model of human cancer with NOD/SCID mice.:Taketo YAMADA1,2, Nobumichi HOZUMI2,3, Jasbir S. SANDHU4, Etsuji UKIYAMA1,5, Jun-ichi HATA1 (1Dept. Pathol., 2Tsumura Foundation, Keio Univ., 3Life Science Inst., Tokyo Science Univ., 4Lunenfeld Inst., 5Urawa municipal Hosp.)

ヒトがんの転移は患者の予後を決定する重要な要素であり、その分子機構の解明と転移阻止治療法の開発が必須である。しかし転移には様々な細胞・分子が関与することからも、ヒト生体内により近いモデルが必要である。そこでわれわれはNOD/SCIDマウスを用いて、新たなヒトがんの転移モデルの開発を試みたので報告する。【方法】ヒト海綿骨2ヶをNOD/SCIDマウス皮下へ別々に移植し、3週以降に片側の移植骨内へヒト乳癌原発巣および骨転移巣より採取した癌組織を移植し、他方の骨組織への転移を観察した。また移植したヒト骨およびヒト乳癌組織におけるヒト血管内皮細胞についてヒトCD31,34, HLA-Class I抗体を用いた免疫染色により検討した。【結果】移植されたヒト骨組織内には3ヶ月以上にわたりヒト造血および血管が観察され、さらに移植骨周囲にも血管新生が認められた。またこの血管内皮細胞はヒトCD31, 34, HLA-Class Iが陽性であることから、移植骨内外でヒト血管新生が生じることが明らかとなった。次にヒト骨2ヶを離れた部位に皮下移植し、片側の移植骨内へヒト乳癌原発組織または骨転移巣より採取した癌組織を移植した。その結果、骨転移巣の癌組織を移植した場合にのみ、8週以内に他方の骨組織への転移が認められた。一方、マウス骨や他臓器への転移は認められなかった。【考察】ヒト骨組織に特異的なヒト癌の血行性転移モデルを確立した。このヒト骨に特異的な転移は骨組織内のヒト血管および内皮細胞が関与している可能性が考えられた。