ABSTRACT 395(7-3)
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カルポニンh1(CNh1)欠失マウスの転移アッセイ系としての可能性:谷口俊一郎1,竹岡みち子1,江原孝史2,高橋克仁3,勝木元也41信州大・医・加齢適応研セ,21病理,3大阪成人病セ,4東大・医科研)
 
Calponin h1- deleted mouse as a candidate host sensitive to assess cancer metastasis : Michiko TAKEOKA1, Shun'ichiro TANIGUCHI1, Takashi EHARA2, Katsuhito TAKAHASHI3, Motoya KATSUKI4 (1Res.Ctr.Aging and Adaptation, 21st Pathol., Shinsyu Univ. Sch. of Med ., 3Osaka Med.Ctr., 4Inst.Med.Sci.,Tokyo Univ.)
 
アクチン関連分子は細胞運動性や接着性を制御し,シグナル伝達への関わり,さらに癌細胞の転移能にも関与ていることが明らかになってきた。我々は癌細胞のみならず宿主側細胞にも着目し,悪性腫瘍組織の血管構築細胞で平滑筋型αアクチンの発現減弱,又その程度がアクチン関連分子であるCNh1においてさらに強いことを見い出した。このような変化は細胞骨格構築の脆弱化によって血管壁を構築する細胞間接着の低下をもたらし腫瘍細胞の転移を促進する可能性があると考えた。そこでその検証および転移し易い宿主を開発する目的でCNh1欠失マウスを作成した。
 CNh1欠失マウスの形質を調べたところ,野性型に比べ大動脈などでは顕著な変化がみられなかったものの,冠動脈の内皮細胞と平滑筋細胞の間に細胞外基質の増加がみられること,毛細血管壁が薄いこと等が認められ,血管が脆弱であることを示唆するものと考えられた。また,CNh1は他関葉系細胞の分化・増殖に関与することが示唆され,創傷に対し過剰な線維芽細胞の反応がみられた。これらの形質が癌の転移にどのように影響するかを検討中である。