ABSTRACT 396(7-3)
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Brain slice cultureを用いた脳腫瘍浸潤モデルにおけるグリオーマ浸潤の解析:大西丘倫,松村博隆,泉本修一,平賀章壽,有田憲生(阪大, 医, 脳外)

Cellular mechanism of glioma invasion studied by a newly-developed invasion model using brain slice : Takanori OHNISHI, Hirotaka MATSUMURA, Shuichi IZUMOTO, Shoju HIRAGA, Norio ARITA (Dept. of Neurosurg., Osaka Univ. Med. Sch.)

〔目的〕脳腫瘍の浸潤を評価する方法として従来のin vitro assay 法では腫瘍細胞と正常脳組織との相互作用が評価できないこと、三次元的な観察が難しいこと等の、in vivo モデルでは経時的な評価ができないこと、浸潤能を定量的に評価できない等の問題がある。今回、brain sliceを用いた脳器官培養を行い、brain sliceとグリオーマ細胞とのcocultureによりグリオーマ浸潤の動態を解析した。
〔方法〕生後2日の新生仔ラット脳の薄切冠状切片を作成、孔径0.4μmの透明多孔膜上に乗せ、大気と培養液と境界で静置界面培養を行った。生細胞標識蛍光色素PKH2にて標識したC6グリオーマ スフェロイドを脳切片上に移植し、グリオーマ細胞の運動と脳内浸潤動態について共焦点レーザー顕微鏡を用いて解析を行った。
〔結果〕C6グリオーマ細胞は、脳切片上を広範囲に移動し、神経接着因子L1の添加により、運動性の亢進が見られた。一方、時間経過と共に、グリオーマ細胞は脳組織内へ浸潤し、その浸潤はphenanthroline添加によるMMPの阻害により抑制された。
〔結論〕brain sliceを用いた本脳腫瘍浸潤モデルは、生体に近い環境で腫瘍細胞の動態を解析することができ、共焦点レーザー顕微鏡を併用することにより、浸潤の定量的評価が可能であった。