ABSTRACT 433(8-2)
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担癌宿主T細胞におけるIL-12レセプター(IL-12R)発現制御:岩崎正幸,于文功,Rishani Wijesuriya,小川真,戸村道夫,藤原大美,濱岡利之(阪大・医・バイオセ・腫瘍発生)

Regulation of IL-12 R expression on T cells in the tumor-bearing state : Masayuki IWASAKI, et al. (Biomed. Res. Ctr., Osaka Univ. Med. Sch.)

[目的]IL-12は強い抗腫瘍効果も示すが、すべての腫瘍系において有効とは限らず、奏効性及び非奏効性腫瘍系が存在する。又、IL-12は主にT細胞に作用して抗腫瘍効果を示すが、担癌ステージの進行と共にT細胞機能障害が出現することが明らかとなっている。そこで本研究は奏効性、非奏効性腫瘍系で種々の担癌ステージにおけるT細胞のIL-12R発現について検討した。[方法]IL-12奏効性腫瘍系(CSA1M及びOV-HM)と非奏効性腫瘍系(Meth A)を用いた。IL-12Rβ1及びβ2鎖mRNAはRNase protection assayにより検出した。T細胞集団は抗Thy-1抗体の磁気ビーズを用いたpositive selectionで調製した。
[結果](1)IL-12Rβ1鎖の発現は正常マウス脾細胞ではごくわずかに検出された。CSA1M/OV-HM早期担癌マウスで強い発現増強が認められた一方、担癌後期には正常マウス脾細胞レベルにまで減弱した。(2)IL-12Rβ2鎖の発現は本質的にはβ1と同様の担癌ステージ推移パターンを示したが、β1鎖と比し担癌早期での発現増強は軽微であった。(3)正常脾細胞及び担癌早期脾細胞よりT細胞を調製し、実際にT細胞にβ1とβ2鎖の発現がみられることを確認した。その後、各T細胞集団のIL-12応答性を、IL-12刺激によるIFN-γ産生によって検討した。後者のT細胞集団は正常T細胞に比し約10倍強いIFN-γ産生を示し、IL-12Rβ1鎖の発現増強と相関した。(4)IL-12非奏効性腫瘍Meth Aでは、β2鎖の発現増強は奏効性腫瘍系と同程度に弱くみられた一方、奏効性腫瘍系でみられたβ1鎖の強い発現増強は、はるかに弱い程度にしかみられなかった。
[考察]担癌宿主におけるIL-12Rの発現制御についてはβ1鎖がkeyとなることが明らかとなった。又今回の結果は(1)IL-12Rが担癌ステージの進行と共に抑制されること、(2)IL-12奏効性とT細胞上のIL-12R発現増強が相関するという二つの重要な情報を提供する。