ABSTRACT 436(8-2)
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腫瘍特異的Th2クロンの受身移入による担癌末期マウスの延命効果の機序の解析:沈 淵,藤本重義(高知医大・免疫)

Analysis of mechanism on servival of terminal stage tumor bearing mice by adoptive transfer of tumor specific Th2 clone : Yuan SHEN, Shigeyoshi FUJIMOTO (Dept. of Immunol., Kochi Med. Sch.)

 我々は、A/Jマウス由来の肉腫S1509aに対する腫瘍特異的Th2クロン(YS1093)を樹立し、このTh2クロンの担癌早期マウスにおける抗腫瘍効果の解析を行い、その結果よりTh1細胞のみでなく、Th2細胞も腫瘍にprimeされたCD8+T細胞の活性を増強することにより、直接腫瘍拒絶反応に関与していることを報告して来た。担癌末期(腫瘍径2cm以上)マウスにYS1093を移入すると担癌早期ほどの腫瘍退縮効果はみられなかったが、対照群に比べ有意な延命効果がみられた。そのメカニズムを解析したところ、YS1093を移入した群では、免疫マウス或いは、担癌早期マウスの脾細胞と同様にin vitroで強い腫瘍特異的CTLが誘導され、このCTL誘導相にはCD4+T細胞もしくはその代わりに抗原刺激により得たYS1093の培養上清が必須であった。一方、対照群(YS1093非移入群)の脾細胞では、常法によりCTLが全く誘導できなかったが、このCTLの誘導時にCD4+T細胞を除去してしまうと、担癌早期とは全く異なり、強い腫瘍非特異的CTLが誘導され、また、この非特異的キラー活性がYS1093の培養上清を加えることにより強く抑制された。更に、この両群の脾細胞populationを比較してみた結果、YS1093を移入することにより、担癌末期に生じるT細胞の減少とそれに随伴するマクロファージの増加を抑えていることが明らかになった。これらの結果から、担癌末期マウスにYS1093を移入することにより、非特異的抗腫瘍活性を抑え、特異的CTLによる抗腫瘍活性を誘導すると考えられた。