ABSTRACT 437(8-2)
活性化Th1およびTh2細胞のアポトーシス誘導におけるフォルボールエステル感受性PKCアイソフォームの重要性:八幡崇1,2, 太田明夫1, 北村秀光1,3, 大見寧1, 安部直子1,2, 垣生園子2, 西村孝司1,2(1東海大・医・遺伝子工学、2東海大・医・免疫、3北大院・理・生体設計)
The essential role of phorbol ester-sensitive protein kinase C isoforms in activation-induced cell death of Th1 cells : Takashi YAHATA1,2, Hidemitsu KITAMURA1,3, Naoko ABE1,2, Sonoko HABU2, Takashi NISHIMURA1,2 (1Dept. Genetic Engineering, Tokai Univ. Sch. Med., 2Dept. Immunol., Tokai Univ. Sch. Med., 3Div. Biol. Sci., Grad. Sch. Sci., Hokkaido Unv. )
[目的]我々は、OVA-TCR Tg(DO10)から誘導したTh1あるいはTh2細胞を用いて、Th1細胞がTh2細胞と比べて、アポトーシスを起こしやすく、その誘導のためにはフォルボールエステル (PMA) 感受性のPKCが重要であることを明らかにしたので報告する。[方法および結果]OVA-TCR Tg(DO10)の脾細胞を抗原とIL-12, 抗IL-4抗体(Th1条件)および抗原とIL-4, 抗IL-12抗体(Th2条件)で5-7日間培養し、Th1, Th2細胞を誘導した。Th1, Th2細胞を固相化抗CD3抗体で刺激したところ、Th1細胞はTh2細胞に比べて、短時間でアポトーシスの誘導が認められ、その後も優位に高い割合でアポトーシスが検出された。PKC 阻害剤であるH-7およびGF109203Xの添加により、アポトーシスは完全に抑制された。細胞をPMA存在下で24時間培養するとPKCが脱感作され、それに伴ってTh1細胞のアポトーシス誘導は抑制された。Th1細胞とTh2細胞のFasの発現量を比較した結果、Th1細胞の方がTh2細胞に比べてFasを強く発現していることが確認された。抗CD3抗体で刺激後のFas陽性細胞に対する細胞傷害活性は、Th1細胞の方がより強い活性を示した。この細胞傷害活性は、PMA前処理および抗FasL抗体の添加により低下した。さらに、CD3刺激により誘導されるアポトーシスも、抗FasL抗体の添加により完全に抑制された。このことから、Th1細胞におけるアポトーシスは、PMA感受性のPKC依存的に誘導され、その細胞死はTh1細胞同士のFas-FasLを介してひき起こされる現象であることが示された。