ABSTRACT 440(8-2)
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Fasリガンド遺伝子導入neuroblastomaによる抗腫瘍免疫の誘導: 清水本武1, 八木田秀雄2, 武田泰隆3,, Adriano Fontana4, 松沢昭雄5 (1都臨床研・化療, 2順天堂大・医・免疫, 4Clin. Immunol., Dept. Int. Med., Univ. Hosp., Zurich, 東大・医科研・3,外科, 5実動研)

Neuroblastoma expressing FasL induces antitumor immunity: Motomu SHIMIZU1, Hideo YAGITA2, Yasutaka TAKEDA3,, Adriano FONTANA4, Akio MATSUZAWA5 (1Dept. Cancer Ther., Tokyo Metro. Inst. Med. Sci., 2Dept. Immunol., Juntendo Univ. Sch. Med., 4Clin. Immunol., Dept. Int. Med., Univ. Hosp., Zurich., 3,Dept. Surg., 5Lab. Anim. Res. Cent., Inst. Med. Sci., Univ. Tokyo)

眼、精巣およびある種の癌細胞はFasLリガンド(FasL)を発現して、組織内に侵入するFas+免疫細胞のアポトーシスを誘導するため、immune privilegeや免疫抑制が起きると報告されている。しかし、Neuro2a (neuroblastoma)にFasLcDNAを導入した細胞(Neuro2a+FasL)を用いて検討した結果、逆に、FasLによる抗腫瘍免疫の増強が認められた。Neuro2a+FasLは培養液中にFasLを放出し、培養上清はFas+腫瘍細胞のアポトーシスを誘導した。この活性は抗FasL抗体(K10)で消失した。抗FasL抗体によるフローサイトメトリー法で検討すると、FasLがNeuro2a+FasL細胞表面に発現していた。Neuro2a+FasLを同系のA/Jマウスに移植すると、腫瘍は全く増殖せずに全例拒絶された。そこで、Neuro2aでチャレンジすると、腫瘍は腫瘍抗原特異的に拒絶された。Neuro2a+FasL細胞で免疫後、抗CD4または抗CD8抗体の投与実験より、エフェクター細胞はCD8+T細胞であった。さらに、Neuro2a担癌マウスにNeuro2a+FasLを接種すると、腫瘍が拒絶されたり、増殖が著明に抑制された。以上の結果より、FasL遺伝子導入腫瘍は免疫抑制ではなく、強い抗腫瘍免疫を誘導した。