ABSTRACT 441(8-2)
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腫瘍におけるFas ligand発現と抗腫瘍免疫との相互作用:山崎誠二1,金岡俊治1,井上直也1,嶋田 裕1,今村正之11京大・医・腫瘍外科)

Interaction between antitumor immunity and expression of Fas ligand in tumors: Seiji YAMASAKI1,Shunji KANAOKA1,Naoya INOUE1,Yutaka SHIMADA1,Masayuki IMAMURA1 (1Dep. Surg. & Surg. Basic Sci., Kyoto Univ.)

(目的と方法)腫瘍における Fas ligand (FasL) の発現と活性化リンパ球の抗腫瘍効果との関連について検討を加えた.胃癌組織及び食道癌細胞株におけるFasL mRNA の発現を RT-PCR-southern にて検討し、さらに健常人末梢血からの固相化CD3活性化リンパ球と食道癌細胞株両者の混合培養系において時間経過における非付着細胞のアポトーシスを DNA ladder pattern にて検討した.(結果)胃癌組織での FasL の発現は 34% (12/35) であり、食道癌細胞株 31株における FasL の発現は 80% (25/31) に認めた.食道癌細胞株と活性化リンパ球との6時間,24時間の混合培養系において FasL 高発現株と活性化リンパ球の組み合わせにおいて非付着細胞で時間経過とともにアポトーシス細胞の増加を認めた.また固相化 CD3 活性化リンパ球(day 5)と PHA 活性化リンパ球(day 5)の比較では,FasL 高発現株は CD3 活性化リンパ球に対して抵抗性であり,抗 FasL 抗体(NOK2) 添加により,活性化リンパ球のアポトーシスの減少がみられた.(考察)これらの結果より,腫瘍における FasL 発現は腫瘍局所における抗腫瘍免疫誘導を抑制し,特に特異的Tリンパ球活性化の抑制に関与していることが示唆された.また活性化リンパ球を用いる免疫療法に抵抗性となるメカニズムにも関与することが考えられた.