ABSTRACT 443(8-2)
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胚中心B細胞において特異的に発現が増強される新規分子GANPの同定及び遺伝子クローニング:桑原一彦、阪口薫雄(熊本大・医・免疫)

Identification and molecular cloning of a novel protein, GANP, whose expression is up-regulated in GC-B cells:Kazuhiko KUWAHARA, Nobuo SAKAGUCHI (Dept. of Immunol. Kumamoto Univ. Sch. of Med.)

[目的] 末梢リンパ組織の胚中心(GC)におけるB細胞の発達、分化は生体防御の中で残された最も大きなテーマの一つである。GC-B細胞のうちcentroblastが細胞分裂を繰り返すのに対して、centrocyteは細胞分裂が停止してaffinity maturation,receptor editingなどを起こして、有効な抗体産生を行うと考えられている。我々は胚中心のcentrocyteで選択的に発現が増強する分子を見出し、その遺伝子をクローニングした。
[方法及び結果] マウスB細胞株WEHI-231の細胞可溶化物をラットに免疫し、免疫組織染色によるスクリーニングで、29-15抗体を得た。この抗体はSRBCを免疫した脾臓胚中心のlight zone側を特異的に染色した。また29-15抗体でNZBマウスの脾臓を免疫染色すると、赤脾髄に強陽性の細胞が多数見られた。我々はこの抗原をGANPと名付け、抗体スクリーニングにより全長5.5kbの新規遺伝子(ganp)を単離した。ganp遺伝子は構造上、酵母のSAC3遺伝子と相同性が見られた。GC-B細胞で起こる分子機構の解析に重要な分子であることが示唆された。