ABSTRACT 444(8-2)
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膿胸リンパ腫発生における EBV 免疫応答不全の解析:菅野祐幸1,中塚伸一1,大澤政彦1,井内敬二2,中島由槻3,青笹克之11阪大・医・病理病態,2国療近畿中央病院・外,3結核研・外)

Deficient anti-EBV immune response in the development of pyothorax-associated lymphoma: Hiroyuki KANNO1, Shin-ichi NAKATSUKAI1, Masahiko OHSAWA1, Keiji IUCHI2, Yutsuki NAKAJIMA3, and Katsuyuki AOZASA1 (1Dept. of Pathol., Osaka Univ. Med. Sch., 2Dept. of Surg., Natl. Kinki-Chuo Hosp., 3Dept. of Surg., Res. Inst. Tuberculosis)

慢性膿胸患者においては膿胸壁に悪性リンパ腫が高率に発生し (Pyothorax-Associated Lymphoma; PAL)、Epstein Barr-virus (EBV) genome が高率に検出される。 PAL cell は Burkitt's lymphoma よりはむしろ EBV-transformed B cell (lymphoblastoid cell line; LCL) に類似し、HLA class I 拘束性 CTL の標的となりうる EBV 抗原 (EBNAs, LMPs) を発現している。 しかし PAL 患者は少なくとも全身性の免疫不全は伴っておらず、EBV 抗原陽性リンパ腫が発生する機序は不明である。 今回、PAL 発生における EBV 関連免疫応答を解明する目的で HLA allele を検討し、合わせて EBNA4 抗原決定基変異の可能性を検討した。 Low-resolution PCR-SSP を用いて PAL 患者16例のHLA-A allele を検討したところ、EBNAs, LMPs に対して効率に CTL を誘導する HLA-A2, A11 の頻度は、PAL 患者と健常日本人との間で差を認めなかった。 また7例について EBV 潜伏感染において CTL の主たる標的となる EBNA4 の CTL epitope 領域を sequencing したところ、type A を示した4例中3例に変異を見た。 同様の変異は東南アジアで endemic な EBV strain にも見い出されており、CTL 反応性を低下させる事が知られている。 残り3例は type B の sequence を示したが、このepitope 領域の CTL 誘導能は低いことが知られている。