ABSTRACT 445(8-3)
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HER2由来ペプチドによるHLA-A24拘束性HER2特異的細胞障害性T細胞クローンの樹立:
生田安司1、奥川利治2、渡辺正人1、池田裕明1、珠玖洋1 (1三重大・医・二内、2三重大・医・産婦)

Establishment of HLA-A24 restricted HER2 specific cytotoxic T cell clones using synthetic peptides derived from HER2 : Yasushi IKUTA1,Tosiharu OKUGAWA2,Masato WATANABE1,Hiroaki IKEDA1,Hiroshi SHIKU1 (1Second Dept.of Internal Med.and 2Dept. of Obst. and Gynec.,Mie Univ.Sch. of Med.)

【目的】我々は、これ迄に原癌遺伝子HER2由来ペプチドが細胞障害性T細胞(CTL)の標的となり、また癌退縮抗原となりえることをマウスの系で明らかにしてきた。その際同定した2種のマウスMHCクラスIのKd拘束性ペプチドはヒトHLA-A24にも結合し得る可能性があると考え、2種のペプチド(p63-71)(p780-788)を用いて、ヒト末梢血よりCTLクローンを樹立すると共に、HER2陽性腫瘍株に対する細胞障害活性を検討した。【方法】(1)正常ヒト末梢血単核球(PBMC)を、GM-CSF・IL-4存在下で培養し、樹状細胞を調整。(2)ペプチド処理した樹状細胞を抗原提示細胞(APC)として同一ヒトPBMCをin vitroで感作し、7日後にIL-2存在下で再感作を行った。さらに7日後ペプチド処理したPBMCを用いて感作し、7日後CD4陽性細胞を除去したのち、Limiting dilutionを行ない、CTLクローンを樹立した。(3)樹立されたCTLクローンはHER2特異的細胞障害活性を51Cr遊離試験で測定した。【結果】(p63-71)(p780-788)各々のペプチドに対し、CD8CTLクローンが複数個樹立できた。樹立されたCTLクローンは、HLA-A24拘束性のもとHER2陽性腫瘍細胞株に対して細胞障害活性を示した。【結論】HER2由来ペプチドを用いて、HLA-A24拘束性CTLクローンを樹立することができた。邦人において最も高頻度のHLA-A24陽性者においてHER2を標的とする腫瘍免疫療法の可能性が示唆された。