ABSTRACT 447(8-3)
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癌胎児性抗原(CEA)由来ペプチドを用いたHLA-A24拘束性CTLの誘導とその解析:糠谷育衛, 川嶋一郎, 竹迫一任, 加藤郁之進(宝酒造・バイオ研)

Induction and characterization of HLA-A24-restricted CTLs recognizing a CEA-derived peptide: Ikuei NUKAYA, Ichiro KAWASHIMA, Kazutoh TAKESAKO, Ikunoshin KATO (Biotech. Res. Lab., Takara Shuzo Co., Ltd.)

【目的】我々は昨年の本学会でCEA由来ペプチド(CEA652(9);TYACFVSNL)がHLA-A24拘束性のCTLエピトープペプチドであることを報告した。今後このペプチドを治療に応用するためには、1)複数のドナーから安定してCTLが誘導でき、2)活性を維持して大量に増殖できる必要がある。そこで、CEA652(9)を用いて複数のHLA-A24健常人PBMCからCTL誘導と大量増殖を試みた。また、各CTLの細胞傷害性についても比較した。【方法】HLA-A24陽性健常人PBMCから単球を分離しIL-4、GM-CSF存在下7日間培養後、CEA652(9)で処理して抗原提示細胞(APC)とした。次にPBMCから分離したCD8+細胞をIL-7存在下APCで刺激し、更に7日毎にペプチド処理した自己PBMCで再刺激してCTLを誘導した。このCTLをPBMC、EBV-transformed細胞、抗CD3抗体およびIL-2存在下で2週間培養し、種々の癌細胞株に対する細胞傷害性、HLA拘束性等を比較した。【結果】CTL誘導を試みた健常人4人全てでCEA652(9)特異的CTLが誘導できた。1人のドナーでは2回の実験でCTLが誘導できた。これらのCTLはペプチド処理HLA-A24発現細胞および癌細胞株に対してHLA-A24拘束性に細胞傷害性を示した。CTLは活性を維持したまま2週間で約1000倍に増殖した。さらに、各CTL毎にCEA陽性癌細胞株に対する傷害性に違いが見られた。【結論】複数の健常人から安定してCEA652(9)特異的CTLの誘導と大量増殖ができた。また、同じペプチドで誘導したCTLでもドナー毎に細胞傷害性が異なることが明らかとなった。今後このペプチドを用いた免疫療法への応用が可能と考えられる。[会員外共同実験者:黒目徹、岩崎朋子、出野美津子]