ABSTRACT 452(8-3)
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T細胞活性化およびアポトーシスにおけるストレス応答性MAPキナーゼキナーゼ SEK1/MKK4の役割:
仁科博史、堅田利明(東大・薬・生理)

The role of stress-responsive MAP kinase kinase, SEK1/MKK4 in T cell activation and apoptosis :
Hiroshi NISHINA, Toshiaki KATADA (Dept. Physiol. Chem., Graduate Sch. Pharmaceut. Sci., Univ. Tokyo)

[目的] セリン/スレオニン/チロシンキナーゼSEK1/MKK4は、CD28, CD40やGC(germinal center)キナーゼなどの免疫調節分子からのシグナルに応答し、直接SAPK/JNKを活性化する。本研究では、T細胞におけるSEK1→SAPK/JNK系の生理機能の解明を目的とした。[方法] 遺伝子破壊法を用いて、SEK1を欠失しているT, B細胞を有するsek1-/-/rag2-/-キメラマウスを作成後、再構築された胸腺やリンパ節、脾臓からSEK1欠損T細胞を調製し、受容体を介するアポトーシス、細胞増殖、IL2産生を検討した。[結果] sek1-/-/rag2-/- キメラマウスの胸腺の大きさは、sek1+/+/rag2-/-キメラマウスのそれに比べ約5分の1と小さく、胸腺内の未成熟細胞であるCD4+CD8+細胞が減少していた。このSEK1欠損CD4+CD8+胸腺T細胞は、T細胞受容体やFasによるアポートシスシグナルに対して感受性を増していた。興味深いことに、SEK1欠損末梢T細胞のアポートシス感受性も高まっており、この細胞中では抗アポートシス活性を有するBcl-XLの発現の低下が観察された。また、SEK1欠損末梢T細胞ではCD28を介する細胞増殖とIL2産生はともに低下していた。[結論] SEK1→SAPK/JNK系は、Bcl-XL発現の制御を通して胸腺の発生や成熟T細胞における抗アポトーシスに関与すること、CD28を介する情報伝達系の下流で機能して末梢T細胞の活性化を正に制御することが示唆された。