ABSTRACT 453(8-3)
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シグナル伝達分子α4はプロテインホスファターゼ2Aの酵素活性を調節し細胞増殖をコントロールする: 乾 誠治、前田和彦、阪口薫雄(熊本大・医・免疫)

Signal transducer α4 controls cell proliferation by regulating PP2A activity.: Seiji INUI, Kazuhiko MAEDA, Nobuo SAKAGUCHI ( Dept. Immunol. Kumamoto Univ. Sch. Med.)

「目的」我々はシグナル伝達分子α4がプロテインホスファターゼ2A(PP2A) の触媒サブユニットと結合して存在すること、免疫抑制剤ラパマイシンがこの結合を阻害することを示してきた。今回α4分子のPP2A酵素活性に及ぼす影響について明らかとしたので報告する。
「方法及び結果」in vitroでPP2Aが基質を脱リン酸化する系に融合蛋白GST-α4を加えたところPP2Aの酵素活性が増強された。更に発現ベクターに組み込んだα4をCOS細胞にトランスフェクトすると親株に比較してα4を発現したトランスフェクタントでは細胞中のPP2A活性の上昇が見られた。免疫抑制剤ラパマイシンは一部のリンパ細胞株の増殖を抑制することが知られている。増殖抑制に感受性のJurkat細胞ではα4とPP2Aの結合が阻害され細胞中のPP2A酵素活性が低下した。一方増殖抑制に耐性のRaji細胞ではα4とPP2Aの結合もPP2A酵素活性も影響を受けなかった。
「結論」ラパマイシンのリンパ細胞増殖抑制効果はα4分子とPP2Aの結合を阻害し細胞中のPP2A酵素活性を低下させることにより発揮されると考えられる.