ABSTRACT 473(9-1)
活性型NF-κBの抑制によるTNFαの抗腫瘍効果ー神経膠腫細胞を用いた検討:大塚吾郎1, 2、長屋 敬1、水野正明2、斉藤 清2、吉田 純2、妹尾久雄1(1環境医研・内分泌代謝、2名大・医・脳外)
Anti-tumor effect of TNFα by suppression of transcription factor NF-κB in human glioma cell lines : Goro OTSUKA1, 2, Takashi NAGAYA1, Masaaki MIZUNO2, Kiyoshi SAITO2, Jun YOSHIDA2, Hisao SEO1 (1Dept. of Endocr.&Metab., Res. Inst. Env. Med., Nagoya Univ., 2Dept.of Neurosurg., Nagoya Univ. Sch. Med.)
【目的】TNFα は腫瘍細胞に対し抗腫瘍効果を示すが、抵抗性を示すものも少なくない。一方、TNFαは転写因子NF-κBを活性化し、抗アポトーシス作用を示すことが知られている。そこでヒトグリオーマ細胞株においてTNFα抵抗性とNF-κBの活性化の関連を検討した。【方法】6種のヒトグリオーマ細胞株にTNFαを添加し生存細胞数を検討した。また、TNFα添加後に核抽出液を調整し、NF-κBの活性化をEMSA法により検討した。そのサブユニットを特異抗体を用いて同定した。更にp65 NF-κB サブユニットの転写活性化ドメインを欠失したdominant negative p65 (p65DN)をエクダイソンにより誘導できるプラスミド(pIND)に挿入し、これをTNFα抵抗性株U-251MGに導入し、stable cell lineを樹立した。【結果】TNFα抵抗性グリオーマ株ではTNFα添加により活性型NF-κBであるp50-p65 heterodimerが誘導された。一方、感受性株ではp50 homodimerがTNFα添加の有無に関わらず認められた。TNFα抵抗性株U-251MGにエクダイソンを添加し、p65DNの発現を誘導すると、TNFαによる抗腫瘍効果が認められるようになった。【考案】ヒトグリオーマ細胞株におけるTNFα抵抗性にp50-p65 heterodimerからなる活性型NF-κBが関与し、活性型NF-κBを抑制することによりTNFαの抗腫瘍効果を発現させうる可能性が示された。