ABSTRACT 479(9-1)
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gp130を介する増殖シグナルにおけるSTAT3の役割解析:日比正彦1,深田俊幸1,大谷卓也1,吉田雄一1,白銀隆宏1,西田圭吾1,中嶋弘一2,平野俊夫1 (1阪大・医・バイオセ・腫瘍病理, 2大阪市大・医・免疫学)

Roles of STAT3 in gp130-induced G1 to S cell cycle transition: Masahiko HIBI1,Takuya OHTANI1,Yuichi YOSHIDA1,Takahiro SHIROGANE1,Keigo NISHIDA1,Koichi NAKAJIMA2,Toshiyuki HIRANO1 (1Div. Molecular Oncology, Osaka Univ. Med. Sch., 2Dept. Immunology, Osaka City Univ. Med. Sch.)

gp130はIL-6ファミリーサイトカインの受容体の共通のコンポーネントである。そのシグナル伝達は、(1)JAKからの直接のシグナル、(2)gp130チロシン759のリン酸化依存性に活性化されるSHP-2・PI-3 kinase・Rasを介するシグナル、(3)チロシン767, 814, 905, 915に存在するYXXMモチーフのリン酸化依存性に活性化されるSTAT3を介するシグナル、に大別される。我々は、増殖シグナルにおける3つのシグナルの関与を明らかにする目的で、マウスB前区細胞株BAF-B03に、細胞外をG-CSF受容体、細胞膜・細胞内領域をgp130に置き換えたキメラ受容体およびその変異体、さらにドミナントネガティブStat3遺伝子を導入し増殖能を検索してきた。その結果、STAT3を介するシグナルが細胞死抑制に関与すること(bcl-2の誘導に関与)を見い出してきた。今回さらに、bcl-2導入細胞株を用いてSTAT3の細胞周期における役割の解析を行ったところ、STAT3の活性化が、cyclin A, cdc25Aの誘導に必須であること、CDKインヒビターであるp21CIP, p27KIPの発現抑制に必須であることを見い出した。以上の結果より、STAT3は細胞周期におけるG1-Sの移行に重要な役割を演じていることが明らかとなったので報告する。