ABSTRACT 0521(10)
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前立腺癌細胞におけるPSA mRNA発現の検討:星 宣次、高橋とし子、鈴木謙一、佐藤 信、中川原寛一、折笠精一東北大・泌、日本遺伝子研究所)

Detection of PSA mRNA in prostate cancers : Senji HOSHI1, Toshiko TAKAHASHI1, Ken-ichi SUZUKI1, Makoto Satoh1, Kan-ichi NAKAGAWARA2, Seiichi ORIKASA1(1Dept. of Urology, Tohoku Univ. School of Med., 2Nihon Gene Res. Lab. Inc.)

目的:Prostate Specific Antigen(PSA)、RT-PCR法を用いて血中、リンパ節より前立腺癌細胞の検出を試みた。その際用いるprimerによりPSA mRNAを発現しない細胞株が存在したので、新たな複数のprimerを作製し検討した。
材料及び方法:PSAを産生する前立腺癌細胞LNCaP, PSAを産生しない、前立腺癌細胞PC-3、DU145、腎癌細胞SMKT-R3、SMKT-R4、TOS-1、TOS-2、ACHN 、膀胱癌細胞YTS-1、KK47、精巣腫瘍細胞NEC8、NEC14を用いた。それぞれの細胞よりRNAを抽出し、複数のprimerを用いてExon2-5間でfirst round PCRを、さらにExon4-5間でnested PCRを行ないcDNAを増幅し目的のPCR産物の有無を検討した。
結果:今回新たに作製したprimerではPSAを産生する前立腺癌細胞LNCaPのみならず、PSAを産生しない前立腺癌細胞PC-3,DU145にも明瞭なPCR産物が検出された。他の尿路悪性腫瘍細胞ではPCR産物は検出されなかった。
考察:PSAは本来前立腺細胞に発現しているものであり、PSA免疫染色の検討では高分化の前立腺癌細胞はPSAを産生するが低分化癌になるにしたがいPSAを産生しなくなる。今回作製したprimerによりPSAを産生しなくなった前立腺癌細胞もnested PCRによりPSA mRNAを血中やリンパ節より検出できる可能性が示唆された。また、種々のprimerを用いたRT-PCR法によりPSAのcDNAをこまかく分けることにより、前立腺癌細胞はPSA遺伝子のどの部分が変異を起こしているのかがわかる可能性がある。