ABSTRACT 0523(10)
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消化器癌、肺癌における血清HGFの臨床的意義:内山明彦、森崎 隆、別府樹一郎、小島雅之、松成康生、中塚昭男、田中雅夫(九大・医・第1外科)

Clinical significance of serum HGF levels in gastrointestinal and lung cancers: Akihiko UCHIYAMA, Takashi MORISAKI, Kiichiro BEPPU, Masayuki KOJIMA, Yasuo MATSUNARI, Akio NAKATSUKA, Masao TANAKA ( Dept. of Surg. I, Kyushu Univ. Fac. of Med.)

<目的>間質細胞より産生され癌の浸潤転移に関わるhepatocyte growth factor (HGF)の血清中濃度を癌患者において測定し、腫瘍マーカーとしての意義を検討した。<方法>胃癌、大腸癌、食道癌、膵癌、肺癌の計40例を対象とした。患者末梢血より血清を分離し、HGF ELISAキットを用いてHGF濃度を測定した。また培養細胞と切除組織からRNAを抽出し、RT-PCR法にてHGF mRNAの発現を調べた。<結果>血清HGFレベルは胃癌、大腸癌、肺癌において0.4 ng/ml以上の高値例がみられた。病期別にみると胃癌のstage III, IVでは 0.90 ± 0.41 ng/mlで、stage I, IIよりも有意に高いレベルであった (P < 0.001 )。血清HGFの推移は手術後の臨床経過と相関した。HGF mRNAは培養肺線維芽細胞に発現し、切除組織では血清HGF高値例でもHGF mRNA発現のみられない症例があった。<考察>血清HGFは癌に対する宿主の間質反応を反映した、新しい腫瘍マーカーとして有用と考えられる。