ABSTRACT 0524(10)
 一般演題一覧 トップ 


臨床病期 I 期非小細胞肺癌における予後因子としての術前血清CEA値の有用性:堀田勝幸1,畝川芳彦1,瀧川奈義夫1,藤本伸一1,江口研二1,佐伯英行2,中田昌男2,万代光一3(四国がんセ・1内,2外,3病)

Serum CEA levels of c-stage I non-small cell carcinoma of lung as a prognositic factor: Katsuyuki HOTTA1, Yoshihiko SEGAWA1, Nagio TAKIGAWA1, Nobukazu FUJIMOTO1, Kenji EGUCHI1, Hideyuki SAEKI2, Masao NAKATA2, Koichi MANDAI3 (1Dept. of Int. Med., 2Dept. of Surg., 3Dept. of Path., Natl. Shikoku Cancer Ctr Hosp.)

【目的】非小細胞肺癌臨床病期 I 期(c-I)症例の術前血清CEA値と術後病期・生存期間との関連性について検討した。【対象と方法】当院にて'90年4月-'95年3月に受診した非小細胞肺癌255例のうちc-I A/I B期手術例45例を対象として、血清CEA値(ELISA法)と、生存期間および無病生存期間との関連について検討した。また、血清CEA値と術後病期との関連を検討した。【結果】評価可能例は、他院手術2例、手術関連死2例、追跡不能2例を除く39例であり、男/女は21/18人、平均年齢は63.3歳で、血清CEA値の中央値は、3.0 ng/ml (最大; 26.6ng/ml)であった。当院における良性呼吸器疾患群の血清CEA値の95%特異度に対応する6.7ng/mlをcut off値とし(Maeda Y. Int. Med, 1996)、高値群(>6.7 ng/ml)と低値群(≦6.7 ng/ml)に分けると、高値群/低値群は9/30人であり、生存期間中央値は40.24/75.78カ月、無病生存期間中央値は、前者は25.61カ月、後者は中央値に達しておらず、各々両群間に有意差を認めた(ログランクテスト, p=0.012, 0.032)。また予後因子として、年齢、血清CEA値などの10項目を用いて多変量解析を施行し、血清CEA値のみに生存期間との関連が認められた(コックス回帰分析, p=0.020)。血清CEA値と術後病期診断については、高値群で低値群よりも有意に病理病期II期以上の症例が含まれていた (カイ二乗法, p= 0.001)。【結論】血清CEA値は、c-I非小細胞肺癌の治療前の予後因子として参考となることが示唆された。