ABSTRACT 589(12-5)
 一般演題一覧 トップ 


腫瘍細胞におけるオリゴペプチド輸送活性と腫瘍細胞選択的薬物デリバリー:中西猛夫1、玉井郁巳1、佐々木琢磨2、辻 彰1 (金沢大・1薬、2がん研)

Characterization of Oligopeptide Transport Activity in Tumor Cells and Tumor Specific Drug Delivery : Takeo NAKANISHI1, Ikumi TAMAI1, Takuma SASAKI2, Akira TSUJI3 (1Fac. Pharm. Sci. and 2Inst. Cancer Res., Kanazawa Univ.)

【緒言】小腸および腎尿細管刷子縁膜に発現するオリゴペプチドトランスポーターPepT1、PepT2はジ、トリペプチドの(再)吸収機構として重要な役割を担っている。当研究室ではヒト繊維肉腫細胞HT-1080にこれと類似した輸送活性を検出し、この幅広い基質認識性およびオリゴペプチドトランスポーターの組織分布を利用して、腫瘍組織選択的な薬物デリバリーについての検討を行ってきた。本研究では、数種の腫瘍細胞にみられる輸送活性の特性と薬物デリバリーの可能性について報告する。【実験方法】数種のヒト由来腫瘍細胞は1x10^5個をディッシュに播種し、数日間培養後、取り込み実験に供した。さらに、6週令のBalb/c nu/nu にHT-1080細胞を2×10^6個皮下に移植し、腫瘍を形成させた。[3H]カルノシンを静注し、30分後に各組織を摘出した。【結果】[14C]Gly-Sarを基質としたとき、HT-1080細胞以外にもいくつかの腫瘍細胞にオリゴペプチド輸送活性を検出できた。ヌードマウスに形成させた腫瘍への[3H]カルノシンの組織移行性は、トランスポーターを発現していない筋肉と比較して有意に増加した。【結論】数種の腫瘍細胞にオリゴペプチドトランスポーターの存在が示唆された。このようなトランスポーターを利用した腫瘍組織選択的薬物デリバリーは有望であると考えられた。