ABSTRACT 600(12-5)
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新規エリプチシン誘導体T-215のin vitroおよびin vivoG1期アポトーシス誘導作用: 大橋元明、小田晃司、蒲沼美智子、細井健史、杉川恵美子、矢崎直子、平啓史、中西憲之 (田辺製薬(株)創薬研究所)

Apoptosis induction of cancer cells in G1 phase by T-215, a new ellipticine derivative, in vitro and in vivo : Motoaki OHASHI, Koji ODA, Michiko GAMANUMA, Takeshi HOSOI, Emiko SUGIKAWA, Naoko YAZAKI, Takafumi TAIRA and Noriyuki NAKANISHI (Discorvery Research Lab. TANABE SEIYAKU Co. Ltd.)

患者の腫瘍は実験モデルの腫瘍に比べて増殖倍加時間が極めて長く、腫瘍細胞は大部分細胞周期のG1期にある。腫瘍増殖のシミュレーションから臨床で高い抗腫瘍作用を発現する為にはG1期の腫瘍細胞を殺すことが重要であることが示される。我々は、9-hydroxy ellipticine (9HE)が腫瘍細胞高発現している変異型p53の燐酸化を阻害してアポトーシス誘導因子baxを発現し、G1期の細胞にアポトーシスを誘導する新規抗がんメカニズムを本学会で報告してきた。今回、9HEに比べ抗腫瘍作用が高く、腫瘍組織への選択的分布を示す新規エリプチシン誘導体T-215のin vitroおよびin vivoにおけるアポトーシス誘導作用を検討した。
 T-215および活性代謝物9HEはそれぞれ30、10μMで変異型p53を有する癌細胞(SW480、SK-BR-3および各種変異型p53を導入したSaos-2など)のG1期の細胞に強いアポトーシスを誘導した。SK-BR-3を移植したヌードラットに215を静注して経時的に腫瘍を採取しFlow cytometryによりアポトーシス誘導を調べた。その結果in vitro同様のG1期のアポトーシスが認められ、本メカニズムの抗腫瘍作用への寄与が示唆された。