ABSTRACT 604(12-6)
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ヒト固形腫瘍細胞のCNDACに対する薬剤感受性規定因子:川上智久1、小幡 徹1、遠藤良夫1、田中基裕1、松田 彰2、佐々木琢磨11金沢大・がん研・化療,2北大・薬)

Regulating factor of drug response to CNDAC(2'-C-cyano-2'-deoxy-1-β-D-arabinofuranosylcytosine) in human tumor cells: Tomohisa KAWAKAMI1, Tohru OBATA1, Yoshio ENDO1, Motohiro TANAKA1, Akira MATSUDA2, Takuma SASAKI1 (1Dept. Exp. Ther., Cancer Res. Inst., 2Fac.Pharm.Sci., Hokkaido Univ.)

【目的】CNDACに対する感受性規定因子として、ヌクレオシドに特異的なトランスポーターならびにdeoxycytidine kinase(dCyd kinase)に着目し、それらの因子と薬剤感受性との相関性について検討した。
【方法】ヒト腫瘍細胞HT-1080とそのCNDAC耐性細胞(CN07)、KBとそのAra-C耐性細胞(KB/AC)、MKN-45とそのCNDAC耐性細胞(MKN-45/CN)を用い、MTT法により薬剤感受性試験を行った。またこれらの細胞内への蓄積量およびdCyd kinase活性は[3H]dCydまたは[3H]CNDACを用いて測定した。
【結果と考察】MTT法におけるCNDACに対するIC50値はHT-1080(1.25 μM)、KB(5.6 μM)、MKN-45(11.9 μM)および各耐性細胞(1 mM以上)であった。薬剤接触15分後におけるCNDACの細胞内蓄積量はHT-1080(0.27 pmol/106 cells)、KB(0.17 pmol/106cells)、MKN-45(0.12 pmol/106cells)であった。各耐性細胞におけるCNDACの細胞内蓄積量は親株の約1/40から1/2に減少し、dipyridamoleとnitrobenzylthioinosineに感受性の輸送担体の著明な減少が認められた。一方、dCyd kinase活性はHT-1080(0.55 nmol/mg protein/hr)、KB(0.6 nmol/mg protein/hr)、MKN-45(0.38 nmol/mg protein/hr)であった。以上の結果より、CNDACに対する薬剤感受性は細胞内蓄積量とdCyd kinase活性双方により規定されていることが示唆された。また耐性初期においてヌクレオシド輸送担体の中でも特にes型 transporterの減少が耐性獲得に寄与していると考えられた。