ABSTRACT 608(12-6)
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CPT-11によるラット回腸組織の浮腫・血管透過性の亢進と誘導型一酸化窒素合成酵素の発現誘導:後藤功一1, 2, 小倉勤1, 立道昌幸1, 西脇裕2, 横倉輝男3, 江角浩安11国立がんセ・研・支所・がん治, 2同・東・呼吸器, 3ヤクルト中研)

Correlation between mucosal edema, vascular permiability and expression of inducible nitric oxide synthase in the ileum end of rat by CPT-11: Koichi GOTO1, 2, Tsutomu OGURA1, Masayuki TATEMICHI1, Yutaka NISIWAKI2, Teruo YOKOKURA3, Hiroyasu ESUMI1 (1Investigative Treatment Div. Natl. Cancer Ctr. Res. Inst. East, 2Div. Thoracic Oncol. Natl. Cancer Ctr. Hosp. East, 3Yakult Cent. Inst. Microbiol Res.)

【目的】CPT-11による下痢の発生の機序については未だに不明な点が多い。我々は、CPT-11による下痢の発現に関連していると考えられる回腸末端組織の粘膜の浮腫及び血管透過性の亢進への、誘導型一酸化窒素合成酵素 (iNOS) の発現誘導の関与を検討した。【対象と方法】Donryu rat にCPT-11 (70 mg/kg) を連日静脈投与し、5日目の回腸末端組織の変化を組織学的に観察した。また、同部位でのiNOSの発現誘導をノーザンブロット法にて解析した。iNOSの特異的阻害剤であるAminoguanidine (AG: 50 mg/kg)または、NO合成酵素阻害剤であるN-nitro-L-arginine methyl ester (L-NAME: 25 mg/kg)のCPT-11同時投与による組織変化も観察した。更に、血管透過性の変化を検討するため、Evans blue を静脈投与し、回腸末端に漏出した色素量を吸光光度計で測定した。【結果】CPT-11投与により回腸末端組織の粘膜に著明な浮腫が出現し、血管透過性の亢進を認めた。また、同組織でiNOSの発現誘導を認めた。この組織の浮腫及び血管透過性の亢進は、AG、L-NAME同時投与により抑制された。【考察】CPT-11投与に伴う回腸末端組織の浮腫ならびに血管透過性の亢進については、iNOSの発現誘導により生成されるNOの関与が示唆された。NOの発生に伴う血管透過性の亢進の機序についても述べる。