ABSTRACT 610(12-6)
ヒト口腔癌細胞株におけるRAR-beta遺伝子導入の効果: 林 賢1,2、仲 一仁1、横崎 宏1、夜陣紘治2、田原 榮一1(1広島大・医・一病理、2広島大・医・耳鼻咽喉科)
Effect of transduction with RAR-beta on oral cancer cell lines: Ken HAYASHI1,2, Kazuhito NAKA1, Hiroshi YOKOZAKI1, Kohji YAJIN2, Eiichi TAHARA 1 (11st Dept.Pathol., Hiroshima Univ.Sch. Med., 2Dept.Otolaryngol., Hiroshima Univ. Sch. Med.)
【目的】レチノイン酸はレチノイン酸受容体(RAR)、レチノイドX受容体(RXR)を介して癌細胞の増殖抑制と分化関連遺伝子を誘導することが報告されている。今回我々は、ヒト口腔癌細胞にRARβ発現ベクターを遺伝子導入し、レチノイド処理による細胞増殖の変化について検討した。【材料と方法】ヒト口腔癌細胞株HSC-4, Ho-1-N-1にDr.R.Lotan (UT M.D. Anderson Cancer Center)より提供されたRAR-betaをリポフェクション法で導入し、10pMの9-cis-レチノイン酸(9CRA)処理した細胞株と10pMのATRA処理した細胞株の増殖、ならびに細胞周期関連遺伝子蛋白、アポトーシス関連遺伝子蛋白の発現を検討した。【結果】HSC-4LNS-beta導入細胞株はLNSX導入細胞株と比較し細胞増殖速度が低下した。また、cyclin D1蛋白の減少とp21, p27蛋白の誘導、さらにBAX, Bak蛋白の誘導が認められた。さらに、9CRA処理によりアポトーシスが誘され、ATRA処理によりG1 arrestを確認した。Ho-1-N-1LNS-beta導入細胞株は9CRA処理,ATRA処理にて著明な変化は確認できなかった。