ABSTRACT 614(13)
癌に対する活性化自己リンパ球移入療法
山口佳之、宮原栄治、檜原 淳、南 一仁、大田耕司、峠 哲哉(広島大・原医研・腫瘍外科)
Immunotherapy of cancer with activated autologous lymphocytes: Yoshiyuki YAMAGUCHI, Eiji MIYAHARA, Jun HIHARA, Kazuhito MINAMI, Tetsuya TOGE (Dep. Surg. Oncol., Res. Inst. Rad. Biol. Med., Hiroshima Univ.)
癌患者に対し、活性化自己リンパ球移入療法(LAK、TIL、CTL)を施行してきた。今回臨床成績を総括し、今後の展開について考察する。
対象は外来患者15例を含み、肝・肺・骨・局所結節60例、癌性体腔液22例であり、LAK41例、TIL23例、CTL10例である。活性化自己リンパ球の誘導にはIL-2含有2%自己血清加RPMI-1640を用い、固相化CD3フラスコで静置培養し回収洗浄後、生理食塩水に再浮遊し1回/1〜2週で細胞移入した。治療前後でQOL票を用いてアンケート調査を行った。IL-2遺伝子を導入した胃癌細胞株を用いて同様に活性化リンパ球を誘導し検討した。
1回移入細胞数は平均2.4X109で、2例において総移入細胞数1011を達成した。臓器再発に対する臨床効果では、評価可能65病巣中、CR 乳がん皮膚転移1病巣、PR 腎癌肺転移および悪性胸膜中皮腫転移結節など5病巣(CR+PR 9%)、NC29病巣(44%)で、腫瘍マーカーの低下や自覚症状の改善は29例(48%)に認められた。癌性体腔液例を体腔液の消長と細胞診の陰性化で評価すると、評価可能21例中著効13例、有効7例、無効1例(著効+有効95%)で、QOLの改善は著しい。GC022588/IL-2の応用では、従来より有能な活性化リンパ球の誘導が可能であった。
活性化自己リンパ球移入療法は癌性体腔液に有効であり、QOLの改善は著しい。H8.11.1当施設において高度先進医療として認可されて以来13例が登録され、9例に有効を得ている。遺伝子導入技術の普及や抗原ペプチドの応用により、本療法のさらなる発展が期待される。