ABSTRACT 616(13)
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樹状細胞を用いたヒト消化器癌に対するCTLの誘導:有賀淳,小寺由人,竹下信啓,古川隆二,高崎健(東京女子医大・消化器セ・外)

Induction of Tumor-specific Cytotoxic T Lymphocytes stimulated with Tumor-Pulsed Dendritic Cells : Atsushi ARUGA, Yoshihito KODERA, Shingo TAKESHITA, Takaji FURUKAWA, Ken TAKASAKI (Dept. of Surgery, Institute of Gastroenterology, Tokyo Women's Medical University)

[目的]強力な抗原提示細胞である樹状細胞を用いてヒト消化器癌に対するCTLの誘導を試み、自己癌細胞に対する細胞障害活性及びサイトカイン産生能を検討した。[方法]ヒト消化器癌(胃癌、大腸癌、膵臓癌、肝細胞癌)患者の自己末梢血より樹状細胞を分離し、GM-CSF, IL-4, (TNFα)添加培養液内にて7-10日間培養後、自己癌細胞(もしくはTumor Lysate)にて2時間パルスし自己末梢血リンパ球と7日間混合培養してCTLを誘導した。自己癌細胞に対する細胞障害活性をクロミウム遊離試験にて測定し、自己癌反応性サイトカイン産生(IFNg, GM-CSF, IL-10)をELISAにて測定した。さらにMUC-1, MAGE-3陽性症例に対して合成ペプチドを用いたCTLの誘導を試み、その免疫応答を比較検討した。[結果]樹状細胞を用いて誘導したCTLは自己癌特異的細胞障害活性を示し、自己癌反応性にType 1優位のサイトカイン産生を認めた。樹状細胞を用いない場合では、自己癌に対する細胞障害活性は低値でType 2サイトカイン産生が優位であった。合成ペプチドを用いてもCTLの誘導は可能であったが、腫瘍を用いた場合に比較して細胞障害活性、Type 1サイトカイン産生能は低値であった。[結論]樹状細胞はヒト消化器癌患者におけるCTLの誘導に有効であり、新しい免疫療法への応用に期待できる。