ABSTRACT 620(13)
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IL-12の抗転移作用におけるNK1+T細胞の役割:
竹田和由1, 小玉智宏1,2, 八木田秀雄1, 奥村康1( 順天堂大・医・免疫1, 東北大・医・1外2

Role of NK1+T cells in the anti-metastatic effect of IL-12: Kazuyoshi TAKEDA1, TomohiroKODAMA1,2, HideoYAGITA1 and Ko OKUMURA1 (1Dept. Immunol. Juntendo Univ. Sch. Med.,2 Dept. 1st. Surg., Tohoku Univ. Sch. Med. )

【目的】我々は、IL-12により特異的にNK1+CD3+のNK1+T細胞に強い細胞傷害活性が誘導され、これがIL-12の抗転移効果の中心となっていることを報告してきた。今回、CD1ノックアウトマウスとRAG2-/-ノックアウトマウスを用いて、IL-12の抗転移効果におけるNK1+T細胞とNK細胞の役割を解析したのでここに報告する。
【方法】IL-12の投与前後に、肝臓のリンパ球からSortingにより各分画を分離し、RT-PCR法によりIL-12レセプター等の発現を比較した。さらに、CD1-/-とRAG2-/-に、mIL-12を腹腔内投与後、肝臓の単核球を分離し、細胞傷害活性およびPhenotypeの変化、血清中のIFN-γ量の変化を解析した。また、これらのマウスに肺転移腫瘍のB16を静注し、転移結節を数えることで、NK1+T細胞の有無がIL-12の抗転移作用に及ぼす影響を評価した。
【結果】1)NK1+T細胞に最も強くIL-12Rβ1,β2が発現しており、また、IL-12投与後にperforinの発現が増強していることを見出した。2)CD1-/-では、IL-12により誘導される細胞傷害活性が減弱しており、IL-12の投与スケジュールによっては、IL-12の抗転移効果が低い場合があった。3)T細胞およびNK1+T細胞の欠損するRAG2-/-にIL-12を投与した時にも、細胞傷害活性の増強が認められ、IL-12による抗転移効果も認められた。
【考察】NK1+T細胞はIL-12レセプターを最も強く発現していることから、IL-12のfirst responder であり、IL-12の抗転移効果に重要な役割を担っていると考えられる。しかし、NK細胞にも充分なIL-12反応性が認められ、NK1+T細胞が存在しなくても、IL-12が適当なスケジユールで投与された場合には、NK1+T細胞が存在する場合と比較しても、遜色のない抗転移効果を示すことが明らかとなった。以上の結果は、IL-12が生体に投与された場合、よりレスポンスの良いNK1+T細胞が反応の主役となるものの、NK細胞もIL-12の抗転移作用に充分に関与していることを示唆している。